IT系・テック系スタートアップの補助金 基本情報技術者の行政書士が詳しく解説!
【2025年7月8日作成】
IT系やテック系のスタートアップが活用しやすい補助金には、主に次の3つがあります。 1つ目は「小規模事業者持続化補助金」で、販路拡大などに使えます。 2つ目は「ものづくり補助金」で、外販用の新しいソフトウェア、システム、SaaS等の開発に適しています。 3つ目は「IT導入補助金」で、ITツールの提供側として“ベンダー登録”することで、自社製品の導入支援に使えます。 本稿ではそれぞれの補助金について、基本情報技術者資格を有する行政書士の古森(こもり)が、実務的な観点からわかりやすく解説します。 なお、当事務所と提携先の行政書士藤原七海事務所(あわせて、なないろバックオフィス)では、IT導入補助金のベンダー登録、小規模事業者持続化補助金、及びものづくり補助金の支援実績が多数ございます。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、物価高騰や人件費上昇、最低賃金引上げなど厳しい経営環境に直面する中小企業が、持続的な成長戦略の一環として新製品や新サービスの開発、あるいは、海外市場開拓に挑戦する際の設備投資を支援するものです。企業全体の事業計画と連動した取り組みが求められ、具体的には「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つの枠がありますが、本稿ではIT系・テック系企業のシステム開発により馴染む、前者「製品・サービス高付加価値化枠」について説明します。
革新的な新製品・新サービス開発(製品・サービス高付加価値化枠)
この補助金は、革新的な新製品・新サービスの開発に必要な設備やシステム投資を支援するものです。「高付加価値化枠」では、既存製品の生産工程の改善や効率化を目的とした取組は対象外です。対象となるのは、自社の技術や強みを活かして、顧客に新たな価値を提供する取組です。
公募要領では、「顧客等に新たな価値を提供することを目的に、自社の技術力等を活かして新製品・新サービスを開発すること」と明記されており、ここでいう「顧客等」には、文字通り社外の販売先(=外販)も含まれます。 したがって、外販を前提としたシステムやITサービスの開発も補助対象となります(反対にシステムそのものを外販せず、システムの導入によって間接的に新たな価値を提供する枠組みでも可能)。なお、対象経費の名称は、「機械装置・システム構築費」です。
システム開発における留意点
システム開発においては、単なる業務効率化やプロセス改善のためのシステム導入は補助対象となりません。対象となるのは、新たな市場や顧客ニーズに応える革新的なシステムやITサービスの開発であり、開発要素を伴わない汎用的なパッケージ導入や、すでに他社で広く利用されているサービスと同一・類似のものは対象外となります。
たとえば、特定の業界や地域のニーズに対応する独自のクラウドサービス、業種特化型の業務支援ツールなど、自社の技術力を活かし、外部顧客に対して新たな価値を提供する取組であれば、補助対象となります。
ものづくり補助金については、下記の私の記事も参考になさってみてください。
ものづくり補助金の第20次公募要領 ― 要件、対象の経費、申請のポイントを解説ものづくり補助金の対象経費について行政書士が詳しく解説します!2025年 ものづくり補助金の加点項目 - 銀行出身の行書書士が解説!ものづくり補助金の事業計画書の書き方 - 銀行出身の行政書士が解説!小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>は、物価高騰や人件費の上昇、インボイス制度の導入など、経営環境の変化に対応しながら、地域の小規模事業者が自ら策定した経営計画に基づいて行う「販路開拓」や「業務効率化(生産性向上)」の取り組みに対して、その経費の一部を支援する制度です。 この補助金は、IT系・テック系スタートアップ企業にとっても有効に活用できるものであり、たとえば以下のような費用が補助対象となります。
- 展示会等出展費(オンライン含む)
ソフトウェア・システムやサービスの販促を目的とした展示会への出展に関する費用が対象です。 - 広報費
ソフトウェア・システムやサービスの認知拡大を目的としたチラシ、看板、新聞広告などの制作・掲載費用が対象です。 - ウェブサイト関連費
ソフトウェア・システムやサービスの販促を目的としたウェブサイト構築(いわゆるLP)、プロモーション動画の制作、SNS広告の実施などが補助されます。
システム開発における留意点:
- 外販目的の開発は対象外
ものづくり補助金と異なり、小規模事業者持続化補助金では、外販を目的としたシステムやソフトウェアの開発は補助対象になりません。自社での使用が前提であることが求められます。 - ホームページ用途の制限
ソフトウェア・システムやサービスの宣伝広告を目的とせず、会社案内や一般的な営業活動を目的としたホームページの制作は「販路開拓」と認められず、補助対象外となります。 - ウェブサイト関連費の単独申請不可
ウェブサイト関連費のみでの申請は認められません。他の補助対象経費との組み合わせが必須です。また、申請額は全体の1/4(上限50万円)までに制限されています。
小規模事業者持続化補助金については、下記の私の記事も参考になさってみてください。
小規模事業者持続化補助金 第18回公募 ― 要件、スケジュール、対象経費、申請のポイントを行政書士が詳しく解説IT導入費補助金 - ベンダー登録

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が業務の効率化や生産性向上を目的として、ソフトウェアやクラウドサービスなどのITツールを導入する際に、その費用の一部(1ツールあたり5万円〜150万円、補助率1/2)を国が支援する制度です。 また、申請者は自由にツールを選べるわけではなく、事前に国に登録された「IT導入支援事業者(ベンダー)」が提供するITツールの中から選ぶ必要があります。申請はこの支援事業者と協力して進められ、ツールの選定から補助金申請、導入後の運用支援まで一体的に行います。
ベンダー登録のメリット
- 販売促進に直結:
補助金により顧客の導入負担が減り、例として50万円のソフトが実質25万円で導入できるため、成約率が向上します。 - 信頼性の向上:
登録事業者は国の公式サイトに掲載されるため、企業としての信頼性・ブランド力が強化されます。 - SEO・アクセス効果:
公式サイトから自社ホームページへのリンクが設置されるため、検索エンジン対策や集客にも効果があります。
ベンダー登録のデメリット・留意点
- 申請支援・報告対応が必要:
ITツールの販売に加え、補助金申請支援や交付後のアフターサポートも行う義務があります。 - 人的・時間的コストの負担:
制度上は申請者と共同事業体として扱われ、責任も共有されるため、リソースの確保が必要です。
システム開発における留意点
補助対象となるITツールには条件があり、特に重要なのは「パッケージソフトであること」です。つまり、顧客専用の受託開発(スクラッチ開発)や、未完成のソフト、カスタマイズ前提のものは対象外です。
ベンダー登録・ITツール登録については、下記の私の記事も参考になさってみてください。 とくにベンダー登録・ITツール登録に必要な書類については、上から3番目の記事「IT導入支援事業者登録申請とツール登録のプロセスと方法」で詳しく解説しています。
IT導入補助金におけるベンダー登録の条件 - 行政書士が解説!2025年 IT導入補助金 -ベンダー登録のメリットとデメリットIT導入支援事業者登録申請とツール登録のプロセスと方法ベンダー登録・ITツール登録申請に必要な機能説明資料と価格説明資料の作成方法インボイス枠の要件と審査、ITツール登録の際のインボイス説明資料の作成方法まとめ
システム開発やソフトウェアに関連する補助金の申請には、行政庁に対する申請書類の作成を専門とする行政書士としての知見に加えて、深いITやシステムに関する知見と経験が必要です。 筆者は、ソフトウェアエンジニア経験が豊富で、かつ、基本情報技術者資格も有する行政書士として、IT事業者が安心・確実に補助金を申請できるよう相談に応じています。 当行政書士事務所は、freee、マネーフォワードなどの大手の主要なソフトウェアの代理店としての登録の他、新規開発のシステムのベンダー登録実績もあります。また、小規模事業者持続化補助金やものづくり補助金の支援実績の豊富です。
加えて当事務所では、IT事業者様により上質なサービスを提供すべく 提携先の応用情報技術者を有する行政書士とともに、単独受任時と変わらない報酬での共同受任にも応じています(ベンダー登録・ツール登録の採択の実績も豊富です)。
とくに「初めてで不安」、「申請書をうまく作れない」と感じている方は、お気軽にご相談ください。 LINE・フォーム・お電話から、初回無料でご相談いただけます。安心・確実な申請をご支援いたします。
提携先:行政書士藤原七海事務所
参考法令・資料
- 小規模事業者持続化補助金<一般型> 第18回公募 公募要領(第3版)
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金-公募要領(第20次公募)
- IT導入補助金 2025 IT導入支援事業者登録要領
- IT導入補助金 2025 ITツール登録要領
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