IT導入補助金におけるベンダー登録の条件 - 行政書士が解説!

IT導入補助金のIT導入支援事業者(ベンダー)には、誰でも登録できる訳ではなく、条件(要件)があります。 本稿では、IT導入補助金のベンダー登録を検討されているIT事業者向けに、ベンダー登録の条件、条件を満たす方法について、基本情報技術者でも行政書士でもある筆者が詳しく解説いたします。

ベンダー登録の条件 - 基本情報技術者資格を有する行政書士が解説

ベンダー登録の条件1 - 法人であること

法人でないとベンダー登録(IT導入支援事業者登録)はできません。外国法人も不可で、国内の法人で国内で事業実態がある必要があります。 仮登録の時は法人番号を、本登録の時は、添付書類として法人の履歴事項全部証明書と、税務署が発行した法人税の納税証明書の提出を求められます。 一方、個人事業主であっても、別の中核となる法人のコンソーシアムの一員として登録することは可能です。

ベンダー登録における仮登録の条件

ベンダー登録の条件2 - 安定的な事業基盤

2つ目の要件は「安定的な事業基盤を有していること」です。IT導入支援事業者は、ソフトウェア等のITツールを売り切って終わりではなく、補助事業者のために申請のサポートや、事業報告などのアフターサポートも義務付けられているので、事務局としては、すぐに倒産されては困るのです。 「安定的な事業基盤を有していること」との条件は、「IT導入支援事業者登録要領」に記載されている表現そのままなのですが、これだけでは、何が求めれているのかわかりません。全体の記載や提出資料から推測される条件は次の通りです。

法人を設立して1期以上経過していること

「インボイス枠」におけるITツール登録のプロセスは、「通常枠」となんら変わりませんが、 申請画面では、法人の売上高と経常利益を少なくとも1期分(原則2期分)記載することが求められるほか、添付書類としては、前述の法人税の納税証明書が必要です。 設立して1期を経過していない新設法人ではベンダー登録はできません。

ベンダー登録_法人決算

今後、中期的に事業を継続できること

この条件は、公募要領には明示されておりません。ただ、ITツールを導入する補助事業者の事業の報告期間が3年間であることと、 その報告のサポートをする義務をIT導入支援事業者が負っていることを勘案すると、IT導入補助金の事務局としては、少なくとも3年かそれ以上の中期に亘り、IT導入支援事業者には事業を継続してもらう必要があると、考えている可能性が高いです(審査の目線)。 法人税の納税証明書の提出に加えて、売上、経常利益、借入金を申告させるのもそのためです。

ベンダー登録の条件3 - ITツールの販売実績

ベンダー登録においては、1つ目のITツールの登録申請を、IT導入支援事業者の登録申請時に同時に行うとされています。 事業者登録とベンダー登録のいずれかが採択され、いずれかが不採択となることはなく、初回申請は一体で、採択または不採択となります(2ツール目はツールのみを申請)。 よって、この条件は1ツール目として申請する予定のITツールが、IT導入補助金の要件を満たしており、かつベンダーがその販売実績を有していることを求めている要件となります。登録要領では次のように表現されています。

本事業の要件を満たすソフトウェア、それに類するサービスを提供・販売した実績を有し、ITツールを登録及び提供できること。

出所:2025 IT導入支援事業者登録要領

弥生会計、Freee、マネーフォワード、Larkなどの代理店(リセラー)として、ベンダー登録する場合は、登録予定のソフトウェア(プランも同一)の販売実績を有してればベストです。別プランでも「類する」評価できれば問題ありません。 一方、代理店(リセラー)ではなく、ベンダーが自ら開発したITツール(ソフトウェア等)をITツール登録する場合は、同じものはありませんので、「それに類する」サービスの販売事績が求められます。 販売実績が何件必要であるかは、登録要領には明記はありませんが、多ければ多いほど審査上は有利に働くと思います。弊事務所では、数件の実績でも採択された実績があります。 また、販売実績では、販売先法人の所在や代表者名の記載が必要な他、事務局より販売実績を確認できる証憑(契約書等)の提出を求められる場合もあります。

ベンダー登録の条件4 - 補助事業者の支援体制の構築

この条件については、資料等で疎明するわけではなく、支援体制を構築している旨を誓約します(チェックボックスにチェックする)。具体的には、下記の誓約をします。

本事業実施期間のみならず、補助金の交付以降も補助事業者への十分な支援(導入支援、定着支援、活用支援、フォローアップ)を行う体制を整え、補助事業者からの問合せや相談、苦情対応について迅速かつ適切に対応すること。また、導入したITツールのサービスについて、より高度かつ利便性等の向上を実現するための利活用推進に係る取組(ツール等のより高度な利用方法や、利便性を向上させる情報分析の方法等のレクチャー等)を実施すること。

出所:2025 IT導入支援事業者登録要領

ベンダー登録のその他の条件

前述の通り、初回のベンダー登録とツール登録は一体ですので、ベンダー登録の条件を満たしても、登録予定のツールがIT導入補助金に定められた条件を満たしていないと、ベンダー登録も不採択です。 その意味では、ベンダー登録のその他の条件で、最も重要な条件はツールが満たすべき条件になるわけですが、本稿では、法人としてのベンダーが満たすべその他の条件のうち、主なものをご紹介します。 1,2,3につき、補助金は税金を原資に交付されていますので、不正受給や補助金の流用に対しては、厳しく対処されます。立入検査への協力も申請時に誓約することを求められます。

  1. 経済産業省又は中小機構から補助金交付等停止措置又は指名停止措置が講じられていないこと。
  2. 中小機構が実施する補助事業において、「虚偽の申請」や「利害関係者への不当な利益配賦」といった不正な行為を行っていない(加担していない)こと。また、今後も不正な行為を行わない(加担しない)こと。
  3. 事務局及び中小機構は、交付申請や実績報告時において補助事業の適正な遂行のため必要があると認めたときは、交付規程第32条に基づく立入調査等を行う。調査への協力を要請された場合は協力すること。協力しない場合は、交付決定の取消しや補助金返還となることに同意すること。
  4. 本事業の交付規程・公募要領等に記載の内容を遵守すること。また、補助事業者に対し、本事業の交付規程・公募要領等に記載の内容を十分に説明し、理解を得たうえで交付申請を行わせること。
  5. 補助事業者に対し、デジタル化を通じた経営課題解決や生産性向上のための支援に取り組むこと。
ベンダー登録・ITツール登録の関連記事

ベンダー登録・ITツール登録については、下記の私の記事も参考になさってみてください。 とくにベンダー登録・ITツール登録に必要な書類については、上から2番目の記事「IT導入支援事業者登録申請とツール登録のプロセスと方法」で詳しく解説しています。

2025年 IT導入補助金 -ベンダー登録のメリットとデメリットIT導入支援事業者登録申請とツール登録のプロセスと方法ベンダー登録・ITツール登録申請に必要な機能説明資料と価格説明資料の作成方法インボイス枠の要件と審査、ITツール登録の際のインボイス説明資料の作成方法

まとめ

ベンダー登録とITツール登録には、行政庁に対する申請書類の作成を専門とする行政書士としての知見に加えて、深いITやシステムに関する知見と経験が必要です。 筆者は、ソフトウェアエンジニア経験が豊富で、かつ、基本情報技術者資格も有する行政書士として、IT事業者が安心・確実に IT支援事業者登録(ベンダー登録)とツール登録をできるよう相談に応じています。 当行政書士事務所は、大手の主要なソフトウェアの他、Lark代理店のベンダー登録実績があります。 加えて当事務所では、IT事業者様により上質なサービスを提供すべく 提携先の応用情報技術者を有する行政書士とともに、単独受任時と変わらない報酬での共同受任にも応じています(ベンダー登録・ツール登録の採択の実績も豊富です)。 LINE、問い合わせフォーム、または、お電話にてお気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。

提携先:行政書士藤原七海事務所

参考法令・資料

  1. IT導入補助金 2025 IT導入支援事業者登録要領
  2. IT導入補助金 2025 インボイス枠(インボイス対応類型)
  3. IT導入補助金 2025 IT導入支援事業者登録の手引き
  4. IT導入補助金 2025 ITツール登録要領
  5. IT導入補助金 2025 ITツール登録の手引き
  6. IT導入補助金 2025 ITツール登録申請にあたっての重点確認事項

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