2025年 IT導入補助金 -ベンダー登録のメリットとデメリットを基本情報技術者を有する行政書士が解説!

2025年2月28日に、2025年のIT導入補助金(通常枠)の公募要領が発表されました。 本記事では、ベンダー登録の区分を確認した後、ベンダー登録のメリットとデメリットについて 基本情報技術者でも行政書士でもある筆者が詳しく解説いたします。

【2025年】IT導入補助金(通常枠)の公募要領 ― 主要ポイントと申請の流れを徹底解説

IT導入補助金とは?

IT導入補助金は、企業が新しいソフトウェアやクラウドサービス、 その他のITツールを導入する際の費用の一部を、国や関連機関が支援する制度です。 目的は、業務効率の向上と生産性の向上です。

また、IT導入補助金では、補助金の申請者(中小企業等)が自由にITツールを選べる訳ではなく、 予めベンダー登録されたIT導入支援事業者からツールを選定し、同IT導入支援事業者にも相談しながら、補助金の申請を進める点が大きな特徴です(下記の図を参照)。 なお、本稿はIT導入支援事業者の登録を検討されているベンダーのパートナー代理店の方向けの記事です。 補助金の申請者の視点では、別の記事で詳細に紹介しています。

IT導入補助金の仕組み

IT導入支援事業者ではなく、IT導入補助金の申請をされたい方は、下記の私の記事をご覧ください。

【2025年】IT導入補助金(通常枠)の公募要領 - 補助金の申請者向け

ベンダー登録とパートナー代理店

IT導入支援事業者は、ITツールの開発元であるベンダーがIT導入支援事業者となってケースと、 ベンダーのパートナー代理店が、IT導入支援事業者登録をしているケースに分かれます。 下記は実際に代理店としての登録(パートナー登録)が確認できる代表的な大手ベンダーのITツールの例です。

  • 弥生会計のスタンダード
  • 弥生会計プロフェッショナル
  • Misoca
  • マネーフォワードクラウド ビジネスプラン
  • freee会計(法人向け)
  • freee人事労務(法人向け)
  • freee工数管理
  • Lark Proプラン
  • Lark Enterpriseプラン

弥生会計、マネーフォワード、freee、いずれもIT導入支援事業者登録(ベンダー登録)がされていますが、 そのパートナーも同様にIT導入支援事業者登録がされています。 Larkについては、本体はベンダー登録されておらず、代理店のみベンダー登録されております。 ただし、パートナーの全社が登録されている訳ではなく、一部です。また、ベンダーの全てのITツール・ソフトウェア・製品について、IT導入支援事業者登録ができる訳ではなく、 そのうち、ベンダー側がパートナー制度(代理店・リセラーによる販売の制度)を設けているITツール・ソフトウェア・製品に限られます(厳密には技術的に登録はできてしまうが、補助申請ができない)。 例えば弥生会計では、デスクトップの弥生会計スタンダード、弥生会計プロフェッショナルはパートナーとして、代理店登録ができますが、弥生会計オンライン(現、弥生会計Next)などの クラウドサービスはパートナー制度の対象外となっていることも多く、IT導入支援事業者登録もできません(再掲:厳密には技術的に登録はできてしまうが、補助申請ができない)。

IT導入支援事業者登録(ベンダー登録)のメリットとデメリット

上述の通り、全てのパートナーがIT導入支援事業者として登録している訳ではありません。 また、ベンダーの側も過去に登録したことがあっても、 ベンダー登録を取りやめる事例があります。

ベンダー登録のメリット


販売促進
ベンダーの登録の最大のメリットは、販促(顧客の経済的負担軽減)ではないでしょうか。2025年のIT導入補助金では、1ツールにつき5万円~150万円、補助率は1/2(50%)ですので、 支援事業者のお客さんであるユーザーは、例えば、50万円のソフトウェアを25万円の負担で導入することが可能になります。

信頼性の向上
ベンダーの登録の2番目メリットは、事業者としての信頼性向上だと思います。 ベンダー登録は、経営の安定性や販売実績などの要件を満たす必要があり、さほど簡単という訳ではありません。 中小企業庁が実質的に運営するIT導入補助金の公式サイトに、IT導入支援事業者として会社名が記載されることで、顧客に対して、取引をする上での安心感を与えることができ、信頼性の向上が期待できます。 自主のホームページに対する被リンクの効果(SEO上のプラス効果)も期待できます。

ベンダー登録のデメリット


他方で、IT導入支援事業者登録(ベンダー登録)の最大のデメリットは、申請サポートとアフターサポートのコストです。 IT導入支援事業者は、ソフトウェア等のITツールを売り切るだけでなく、申請者/補助事業者が、補助金を適正に申請できるようサポートする義務と、申請後のアフターフォローをする義務を課せられています。 下記の図は、IT導入補助金の事業者登録に係る要領に記載されている図です。 IT導入支援事業者と、申請者/補助事業者が共同事業体として描かれています。

IT導入補助金_スキーム図

IT導入支援事業者に課せらている、申請者/補助事業者の申請時のサポート業務(義務)としては、次のようなものがあります(主要なもののみを記載)。

  • 申請者からの補助金申請に対する問い合わせ対応
  • 申請者の申請書の作成支援(事業計画の作成支援を含む)
  • 補助事業者に対して、補助事業のルール遵守を徹底させる

IT導入支援事業者に課せらている、申請者/補助事業者のアフターサポート業務(義務)としては、次のようなものがあります(主要なもののみを記載)。

  • ITツール導入完了後の実績報告の作成と提出
  • 補助事業者からの各種問い合わせへの対応
  • 事業実施報告書の作成と提出(原則3回)

IT導入支援事業者には、以上のような申請サポートの義務とアフターサポートの義務が課せらているため、 あまりに単価の安いソフトウェア・ITツールを登録・導入してしまうと、 アフターサポートのコストで販売促進効果を打ち消してしまう懸念すらあり、実際にとくに単価の安いソフトウェア・ITツールでは、 一度登録したIT導入支援事業者を取りやめるケースがあります。

IT導入支援事業者登録申請とツール登録のプロセスと方法については、下記の私の記事で詳しくご紹介しています!

IT導入支援事業者登録申請とツール登録のプロセスと方法

留意事項・注意点

事業実績報告
IT導入支援事業者登録、ITツール登録を終え、顧客(補助事業者)がITツールを導入(契約・納品・支払い)をした後、事務局への事業実績報告が必要です。 事業実績報告では、規定の要件を満たした請求書・銀行振込等の支払証憑を提出する必要があり、この要件を満たせない場合は、補助金の交付を受けることができません。 この中で、最も注意を要する点が、請求書の請求元と支払先で、いすれもIT導入支援事業者名と完全に一致している必要があります。 従って、IT導入支援事業者が代理店や取次店のケースで、決済方法がメーカーへの直接支払いの場合は、証憑の要件を満たすことができず、補助金の支給を受けることができません(IT導入支援事業者は、リセラーとして契約・決済をする必要があります)。

まとめ

ベンダー登録とITツール登録には、行政庁に対する申請書類の作成を専門とする行政書士としての知見に加えて、深いITやシステムに関する知見と経験が必要です。 筆者は、ソフトウェアエンジニア経験が豊富で、かつ、基本情報技術者資格も有する行政書士として、IT事業者が安心・確実に IT支援事業者登録(ベンダー登録)とツール登録をできるよう相談に応じています。

当行政書士事務所は、freee、マネーフォワードなどの大手の主要なソフトウェアの代理店としての登録の他、新規開発のシステムのベンダー登録実績もあります。 加えて当事務所では、IT事業者様により上質なサービスを提供すべく 提携先の応用情報技術者を有する行政書士とともに、単独受任時と変わらない報酬での共同受任にも応じています。

「はじめてで不安」、「自分でやってみたけど何度も事務局から差戻しされて困ってる」――そんな方こそ、ぜひ一度ご相談ください。LINEやお問い合わせフォーム、お電話から、いつでもお気軽にご連絡いただけます(無料です)。安心してお任せいただけるパートナーとして、しっかりとサポートいたします。

提携先:行政書士藤原七海事務所

プラン報酬額(税抜き表示)
IT導入支援事業者登録+ITツール登録
(1ツール分込み)
100,000円
不採択の場合は全額返金

参考法令・資料

  1. 2025年 IT導入支援事業者登録の手引き
  2. 2025年 IT導入支援事業者登録要領
  3. 2025年 ITツール登録申請にあたっての重点確認事項

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Yohei Komori

行政書士
基本情報技術者
J.S.A. ワインエキスパート
古森洋平 Yohei Komori

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