2025年 IT導入補助金 - IT導入支援事業者登録申請とツール登録のプロセスと方法 | 行政書士と基本情報技術者の視点から

【2025年5月4日更新】

2025年2月28日に、2025年のIT導入補助金(通常枠)の公募要領が発表されました。 本記事では、IT導入支援事業者向けに「事業者登録」と「ITツール登録」の各登録プロセスと流れについて、 基本情報技術者でも行政書士でもある筆者が詳しく解説いたします。

【2025年】IT導入補助金(通常枠)の公募要領 ― 主要ポイントと申請の流れを徹底解説

IT導入補助金とは?

IT導入補助金は、企業が新しいソフトウェアやクラウドサービス、 その他のITツールを導入する際の費用の一部を、国や関連機関が支援する制度です。 目的は、業務効率の向上と生産性の向上です。

また、IT導入補助金では、補助金の申請者(中小企業等)が自由にITツールを選べる訳ではなく、 予めベンダー登録されたIT導入支援事業者からツールを選定し、同IT導入支援事業者にも相談しながら、補助金の申請を進める点が大きな特徴です(下記の図を参照)。 なお、本稿はIT導入支援事業者の登録を検討されているベンダーや代理店(パートナー、リセラー)の方向けの記事です。 補助金の申請者の視点では、別の記事で詳細に紹介しています。

IT導入補助金の仕組み

IT導入支援事業者ではなく、IT導入補助金の申請をされたい方は、下記の私の記事をご覧ください。

【2025年】IT導入補助金(通常枠)の公募要領 - 補助金の申請者向け

IT導入支援事業者登録の概要

事業者登録は、IT導入支援事業者としての基盤を確立するための最初のステップです。登録する主体は、基本的に法人(単独)か、 コンソーシアム(幹事社および構成員)のいずれかとなり、各形態に応じた要件が定められています。 原則として、導入予定のITツールの販売実績がある法人の場合は、単独での申請が可能で、実績がない場合、または個人の場合は コンソーシアムの一員としての申請になります。

その他ITツール登録に係る留意事項としては、IT導入支援事業者登録と初回の1ツール目のITツール(先行登録申請のITツール)の申請は同時にする必要があり、かつ、一体で審査される点が重要です。 2つ目以降のITツール登録は、初回の採択を経た後に初めて可能となります。 また、1ツール目のITツール(先行登録申請のITツール)の対象は、登録要領-大分類1カテゴリー1のソフトウェア、または、サイバーセキュリティーお助け隊サービスのいずれかでなければならず、オプション、役務(サービス)、ハードウェアを登録することはできません。

事業者登録の申請の流れ

事業者登録は、以下のステップで進められます。

  1. 仮登録の実施

    IT導入補助金の公式ホームページより仮登録を行い、事務局から「IT事業者ポータル」へのアクセス権(IDとパスワードを設定)が付与されます。 これにより、正式な登録申請のための準備が整います。

  2. IT事業者ポータルへのアクセス

    仮登録後、登録したログイン情報を使ってIT事業者ポータルにアクセスし、 登録申請に必要な基本情報を入力します。 ここでは、企業(法人)の基本情報、過去の実績、財務状況、(補助金の申請者向けの)サポート体制などが求められます。 その他、取り組み姿勢を記述する欄など、一見すると重要性が低いと思える箇所も審査の対象になっています。 それらは、とくに法と制度の趣旨に沿い、十分に準備して記載する必要があります。 行政書士が力になれる部分でもあります。

  3. 必要書類の提出

    登録申請には、各種書類の添付が必須です。 法人の場合は「履歴事項全部証明書」や「納税証明書」、「販売実績一覧」などが必要となります。 コンソーシアムの場合、幹事社は法人としての書類に加え、コンソーシアム協定書他の提出が求められます。

  4. 審査と結果通知

    事務局および外部審査委員会による厳正な審査が行われ、 必要に応じて追加資料の提出や修正が求められる場合があります(差し戻し)。差し戻しを受けた場合は、定められた期日までに提出をしない限り、不採択となります。 また、一度不採択となると同一年度でのベンダー登録とITツール登録の再申請はできず、翌年まで待つ必要あります。 審査を経て、最終的に採択となった場合には、先ずIT導入支援事業者に採択通知され、その後に(直後が数日後には)、IT導入補助金の公式ホームページ上で、IT導入支援事業者と登録されたITツールの情報が公開されます。

IT導入支援事業者登録の要件(概要)

法人(単独)登録の場合、登録申請者が満たすべき要件は全部で約20点ありますが、重要な要件は次の通りです。

  1. 日本国内での法人登記:
    国税庁が管理する法人番号公表サイトにて確認できる法人登記がされていること。
  2. 安定した事業基盤:
    経営の安定性が求められます。経営の安定性は過去2年分の決算で審査されます(1期でも可)。
  3. 法令遵守と倫理基準の確保:
    経済産業省や中小機構から補助金交付等の停止措置や指名停止措置が講じられていないこと。反社会的勢力との関係がないことも審査の対象です。
  4. ITツールの販売実績:
    ITツールの提供・販売実績があること。誓約事項であると同時に、 申請画面でも代表的な販売事例について記載が求められます。 これにより、実際に補助対象となるツールの提供が可能かどうかが審査されます。 原則、申請に係るITツールそのものの販売実績が複数必要ですが、直接の販売実績がない場合でも、極めて近いITツールの販売実績がある場合には、採択される場合もあります。

下記は実績に関する申請画面の実際のサンプルです(要件とは別の画面で記入を求められます)。 ここは重要な審査対象になっていると考えられます。

IT導入支援事業者登録_代表的なITツール

IT導入支援事業者登録の必要書類

法人(単独)登録の必要な添付書類は以下の通りです。 販売実績は、法定の様式に沿って作成する必要があります。

  1. 履歴事項全部証明書:
    いわゆる法人の登記簿、発行から3カ月以内のものが必要です。申請時は手元で履歴事項全部証明書を見ながら必要な事項を記入します。履歴事項全部証明書と申請内容で相違がないようにすることが重要です。 また、これ自体が添付書類です。登記簿は、法務局からオンラインで取得できるpdf(=登記情報提供サービス)ではなく、紙でしか発行されない履歴事項全部証明書の原本が必要です。この原本をスキャンして(写し)、申請画面に添付します。
  2. 納税証明書:
    税務署が発行する法人税の納税証明書(その1またはその2)を使用します。
  3. 販売実績一覧:
    事務局の指定する様式に基づき作成します。申請に係るツールと同一又は類似のツールの販売実績を詳細に記載します。

上記3点以外にも、事務局から追加の書類(販売実績に係る契約書、請求書、領収書など)を求められることがあります。 下記は、実際の添付書類の入力画面例です。

IT導入支援事業者登録_添付書類

ITツール登録に必要な書類(機能説明資料)

事業者登録を終えたら、次は具体的なITツールの登録をします(なお、初回の申請では両者は一体です)。事業者登録は、申請者本人でも記入可能な内容も多いですが、 ITツール登録の必要書類(とくに、機能説明資料)より難易度が高くなります。ITツールはソフトウェア、ハードウェア、導入支援など幾つかの類型 に分かれていますが、本稿ではソフトウェアを念頭に必要な書類(機能説明資料)の説明をし、 他の類型や手続きについては別の記事で論じたいと思います。機能説明資料は下記の7点で構成されます。また、機能説明資料の内容は、オンライン上の申請画面の入力項目と矛盾なく、整合している必要もあります。

  1. ITツールの正式な製品名
    申請画面の「正式ITツール製品名」と一致する内容を記載します。
  2. プラン名
    同一のITツールにおいて、複数のプラン(スタンダード、プロフェッショナルなど)が存在する場合は、申請に係るITツールのプラン名を特定・明記します。 プランが異なる場合は、別のツールとして申請・登録する必要があります。例えは、Freeeの法人向けスタータープランと、スタンダードとでは、IT導入補助金のベンダー登録、ツール登録においては、別のITツールとして扱われます。
  3. 開発メーカー名 • ITツールの開発元
    自社であれば、自社になりますが、他社の開発製品を扱い、パートナー(代理店、リセラー)としてIT導入支援事業者登録をすることも認められます。
  4. 画面キャプチャ • ITツール名が分かる画面キャプチャ
    スクリーンショットをとります。
  5. 機能一覧、機能概要図
    ソフトウェア等、ITツールが持つ機能の一覧を分かりやすく説明する資料です。 不十分な場合につき、追加で資料の提出を求められることが多いです。
  6. 業務フロー図
    ユーザー、システム、社内担当者の間で、どのように業務が処理されるかを示した図です。 アクティビティ図と呼ばれることもあります。下記に非常に単純なサンプルを示してありますが、 実際にはより複雑な業務フロー図の作成が求められます。基本情報技術者資格を有し、ツール登録の経験も豊富な行政書士である筆者に相談頂ければ 十分に高い品質で作成可能です。
  7. ITツールの利用方法
    ユーザーの視点に立って、ITツールの利用方法を記載します。前述の画面キャプチャーを使いながら説明します。
IT導入支援事業者登録_業務フロー図_例

IT導入支援事業者(ベンダー登録)のメリットとデメリットについては下記の記事をご覧ください。

2025年 IT導入補助金 - ベンダー登録のメリット・デメリット

IT導入支援事業者(ベンダー登録)とITツール登録の際の「機能説明資料」の書き方の詳細と、本稿では触れなかった「価格説明資料」の書き方については、下記の記事をご覧ください。

ベンダー登録・ITツール登録申請に必要な「機能説明資料」と「価格説明資料」の作成方法

まとめ

IT導入補助金は、IT事業者側の視点から見ると、登録されることによる信頼性の向上と、販売促進に大きな効果が見込めます。 筆者は、基本情報技術者資格も有する行政書士として、IT事業者が安心・確実に IT支援事業者登録(ベンダー登録)をできるよう相談に応じています。 加えて当事務では、IT事業者様により上質なサービスを提供すべく 提携先の応用情報技術者を有する行政書士とともに、単独受任時と変わらない報酬での共同受任にも応じています(大手ソフトウェアのITツール登録のほか、Lark販売代理店の登録実績があります)。 LINE、問い合わせフォーム、または、お電話にてお気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。

「はじめてで不安」、「自分でやってみたけど何度も事務局から差戻しされて困ってる」――そんな方こそ、ぜひ一度ご相談ください。LINEやお問い合わせフォーム、お電話から、いつでもお気軽にご連絡いただけます(無料です)。安心してお任せいただけるパートナーとして、しっかりとサポートいたします。

提携先:行政書士藤原七海事務所

報酬:

プラン報酬額(税抜き表示)
IT導入支援事業者登録+ITツール登録
(1ツール分込み)
100,000円
不採択の場合は全額返金

参考法令・資料

  1. IT導入補助金 2025年 IT導入支援事業者登録の手引き
  2. IT導入補助金 2025年 IT導入支援事業者登録要領
  3. IT導入補助金 2025 ITツール登録要領
  4. IT導入補助金 2025年 ITツール登録申請にあたっての重点確認事項

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Yohei Komori

行政書士
基本情報技術者
J.S.A. ワインエキスパート
古森洋平 Yohei Komori

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