小規模事業者持続化補助金 第18回公募 ― 要件、スケジュール、対象経費、申請のポイントを行政書士が詳しく解説

【2025年7月2日作成】
中小企業庁が実施する「小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>」は、物価高騰や人件費の上昇、インボイス制度への対応など、制度・経営環境が大きく変化する中で、地域を支える小規模事業者の販路開拓や業務効率化の取り組みに対して、その経費の一部を補助する制度です。 本稿では、補助金の目的、第18回公募のスケジュール、補助対象経費、申請要件や特例措置などの主要ポイントについて、銀行および投資銀行での勤務経験を有する行政書士・古森(こもり)が、実務的な観点からわかりやすく解説します。 なお、当事務所と提携先の行政書士藤原七海事務所(あわせて、なないろバックオフィス)では、小規模事業者持続化補助金の支援実績が多数ございます。

小規模事業者持続化補助金 第18回公募 ― 要件、経費経費、申請のポイントを詳しく解説

「創業型」は、創業してから原則3年以内の小規模事業者が対象の特別な枠です。 通常の「一般型」では補助の上限額が50万円ですが、「創業型」では、最大200万円まで補助が受けられるという大きなメリットがあります。 創業間もない事業者にとって、より手厚い支援が受けられる制度です。本稿では「一般型」を念頭に解説しますが、「創業型」も、要件と補助上限額以外は大変よく似ています。

補助金の目的と支援対象

小規模事業者持続化補助金の全体像を理解し、採択に向けた準備を進めるために、 まずは、本制度の目的をしっかり確認しておきましょう。下記は、公募要領に記載されている本補助金の目的規定です。販路開拓の取組生産性向上の取組というキーワードがそれぞれ2回繰り返されています。 検討している事業が補助の対象になるか、採択される可能性があるかを判断するには、次の2つのキーワードがとても重要です。

小規模事業者および一定要件を満たす特定非営利活動法人(以下「小規模事業者等」という。)が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更等に対応するために取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とします。 本補助金事業は、自ら策定した持続的な経営に向けた経営計画に基づく販路開拓等の取組や、その取組と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。

第18回公募のスケジュール

補助金の申請は、電子申請システムを利用して行われます。 第18回公募の回公募のスケジュールは次の通りです。小規模事業者持続化補助金の申請には、商工会議所が発行する「様式4(事業支援計画書)」が必須書類です。 よって、発行受付の締切である11月18日が実質的な申請の締切日となり、 この日までに事業計画(様式2)など他の申請書類も完成させておく必要があります。

  • 公募開始: 2025年6月30日(月)
  • 電子申請受付開始: 2025年10月3日(金)
  • 様式4発行受付の締切: 2025年11月18日(火)
  • 申請締切: 2025年11月28日(金)17:00【厳守】
  • 採択発表: 2026年2月上旬頃(申請〆切から約2ヶ月後)

小規模事業者持続化補助金のスケジュール

GビズID

補助金の申請を行うには、事前に「GビズIDプライム」または「GビズIDメンバー」のアカウントを取得しておく必要があります。

オンラインで申請する場合:

GビズIDプライムアカウントは、最短で即日発行される場合があります。

書類を郵送して申請する場合:

申請書類がGビズID運用センターに届いた後、不備がなければ、 原則として2週間以内に審査が行われ、アカウントが発行されます。

スケジュール上の注意事項

・交付決定前に発注・契約・購入した経費は補助対象外です。
・見積取得までは可能ですが、それ以上の手続きはできません。
・採択と交付申請は別審査です。補助対象経費は交付申請時に再度判断されます。

要件(補助対象者)

補助金の対象となるのは、日本国内に所在する小規模事業者に限られます。小規模事業者であるか否かは、次の通り、業種ごとの従業員によって判定されます。 常時使用する従業員には、会社役員、個人事業主本人、親族従業員は含まれません。

業種常時使用する従業員の数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

また、法人の場合は、資本金または出資金が5億円以上の法人に、直接または間接的に100%出資されていないことも要件となります。

補助の上限額と補助率

小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>の補助上限額と補助率は次の通りです。

項目内容
補助率2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は 3/4)
補助上限額50万円
補助上限額(インボイス特例)+50万円:100万円
補助上限額(賃金引上げ特例)+150万円:200万円
補助上限額(両特例を満たす場合)+200万円:250万円
賃金引上げ特例、赤字事業者とは

補助事業期間中に、事業場内最低賃金を地域の最低賃金より50円以上引き上げた事業者は、「賃金引上げ特例」の対象となります。 さらに、直近の事業年度の決算が赤字である場合には、「業績が赤字の事業者」として認められ、補助率が通常の2/3から3/4に引き上げられます。この「赤字賃上げ加点」が適用されることで、優先的に採択される可能性が高まります。 なお、ここでの赤字とは、直近の確定した事業年度において、経常損益または税引前当期純損益がマイナスとなっていることを指します。

インボイス特例とは

2021年9月30日から2023年9月30日までの間に一度でも免税事業者であった事業者、または2023年10月1日以降に創業し、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)の登録を受けた事業者については、「インボイス特例」の対象となり、補助上限額が一律で50万円加算されます。

小規模事業者持続化補助金の審査項目

小規模事業者持続化補助金では、事業計画が主な審査対象です。 審査は、主に以下の観点に基づいて総合的な評価が行われ、評価が高い事業者から順に採択されます。 また、事業計画が販路開拓の取組と生産性向上の取組という制度の目的に沿っていることも重要です。

① 経営状況や自社分析の妥当性

自社の現状や課題、強み・弱みを的確に把握できているかが問われます。

② 経営方針と今後の計画の適切性

経営方針や目標が明確で、それが市場ニーズや顧客のニーズと合致しているかが評価されます。

③ 補助事業計画の有効性・独自性

補助事業の内容が具体的で、実現可能性が高いこと。 さらに、自社の技術やノウハウを活かし、顧客に新しい価値を提供する内容かどうかも重視されます。※デジタル技術の活用が盛り込まれていると審査上より有利になります。

④ 経費の積算が明確かつ適切か

補助対象経費が必要最小限かつ適正な金額で構成されていることが求められます。

補助対象経費

補助対象経費は、以下のような項目が含まれます。販路開拓の取組と生産性向上の取組という制度の目的がここでもポイントになっています。

① 機械装置等費

補助事業の遂行に必要な機械・設備の購入に要する費用

例:業務用冷蔵庫、製造機械、特殊プリンターなど

※ 通常の更新目的や営業活動に直接関係ない備品は対象外

② 広報費

商品やサービスの宣伝を目的とする印刷物や広告の費用

例:チラシ、ポスター、カタログ、DM発送、看板設置、街頭ビジョン掲載など

※ 名刺、求人広告、単なる会社案内は対象外

③ ウェブサイト関連費

販路開拓のためのウェブサイトやECサイト等の開発・更新・運用に関する費用

例:ホームページ作成、SEO対策、ネット広告、ECモール出品費、SNS運用代行

※ 単独申請不可。他経費との併用が必要。内容・成果が不明確なものは対象外

④ 展示会等出展費

展示会・商談会への出展・参加に必要な費用

例:出展料、通訳・翻訳費、機材運搬費等

※ 単なる販売目的の参加、事業期間外開催の費用は対象外

⑤ 旅費

販路開拓を目的とした出張に係る交通費・宿泊費等

例:展示会や商談会の出張に伴う交通・宿泊費

※ 営業活動やセミナー参加、タクシー・ガソリン代は対象外

⑥ 新商品開発費

試作品・パッケージ開発など、新商品開発に関する原材料・デザイン・加工費等

例:試作品用の材料費、パッケージデザイン料など

※ 販売用原材料、完成パッケージ、残材料は対象外

⑦ 借料

補助事業に必要な機器・設備・会場などの賃借料

例:展示会場、設備のレンタル料

※ 通常の家賃や補助事業以外にも使うものは対象外

⑧ 委託・外注費

補助事業の遂行に必要で、外部に委託する業務の費用

例:店舗改装、トイレ改修、移動販売車の内装改造、税理士等への相談費

※ 通常自社で行う業務の外注や、成果物が不明確なものは対象外

事業計画と加点項目

前述の審査項目は、すべて提出する事業計画書を通じて評価されます。 そのため、「何を」、「なぜ」、「どうやって」実現するのかを、わかりやすく、説得力を持って説明することが非常に重要です。 単にやりたいことを並べるのではなく、根拠のあるデータや市場分析、実現可能性の高いスケジュールや体制などをしっかりと盛り込んで、審査員に訴求する事業計画を作り込みましょう(当事務所では、事業計画書の作成にとくに力を入れています)。

審査項目とは別に、いくつかの「加点項目」があります。加点項目は、「重点政策加点」と「政策加点」の2つに分類され、それぞれ1つずつ、最大2項目までしか選べません。 すべてを併用できるわけではないため、自社にとって取得しやすく効果的な加点を戦略的に選ぶことが重要です。 なかでも「政策加点」では、次の3つが比較的取得しやすく、多くの事業者におすすめです:

  • 賃金引上げ加点:
    補助事業終了時点において、事業場内最低賃金が申請時より30円以上引き上げられている場合に適用されます。 申請・報告時には賃金台帳や雇用条件通知書などの提出が必要です。
  • 経営力向上計画加点:
    経済産業局の認定を受けた経営力向上計画の写しを提出することで対象となります。
  • 一般事業主行動計画加点:
    次世代育成支援対策推進法に基づき策定・届出済みの行動計画がある場合に適用されます。

申請書類と事後報告の義務

申請にあたっては、企業情報、事業計画書(様式2)、経費明細、各種誓約書、決算書類、さらに加点や特例に関する証明書類など、多数の書類を提出する必要があります。 また、採択後は補助事業終了後に実績報告書を提出し、さらに1年後には事業効果報告書(様式14)の提出が義務づけられています。 また、賃金引上げ特例を活用する場合は、賃金台帳など、最低賃金や給与支給総額の変化を証明する書類も必要となります。

まとめ

小規模事業者持続化補助金の申請では、要件に沿いつつ、生産性向上など制度の目的も考慮した事業計画を策定して申請することが重要です。 筆者は、銀行および投資銀行での勤務経験を持つ行政書士として、一貫性のある財務データに裏付けられたストーリー性のある事業計画の作成を得意としています。

また、当事務所では、同等の知識と経験を有する提携行政書士と共同で、単独受任時と変わらない報酬体系での支援も行っています(なないろバックオフィス)。 小規模事業者持続化補助金の支援実績も豊富です。

とくに「初めてで不安」、「申請書をうまく作れない」と感じている方は、お気軽にご相談ください。 LINE・フォーム・お電話から、初回無料でご相談いただけます。安心・確実な申請をご支援いたします。

提携先:行政書士藤原七海事務所

参考法令・資料

  1. 小規模事業者持続化補助金<一般型> 第18回公募 公募要領(第3版)

今すぐ相談(全国対応、無料相談、土日歓迎)

Yohei Komori

行政書士
基本情報技術者
J.S.A. ワインエキスパート
古森洋平 Yohei Komori

080-6521-1647

LINE / Zoom(全国対応、無料相談、土日祝日可)