小規模事業者持続化補助金の対象経費について行政書士が詳しく解説します!
【2025年7月10日作成】
中小企業庁が実施する「小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>」は、物価高騰や人件費の上昇、インボイス制度への対応など、制度・経営環境が大きく変化する中で、地域を支える小規模事業者の販路開拓や業務効率化の取り組みに対して、その経費の一部を補助する制度です。 本稿では、小規模事業者持続化補助金の対象経費について、銀行および投資銀行での勤務経験を有する行政書士・古森(こもり)が、実務的な観点からわかりやすく解説します。 なお、当事務所と提携先の行政書士藤原七海事務所(あわせて、なないろバックオフィス)では、小規模事業者持続化補助金の支援実績が多数ございます。

各経費に共通の注意事項
・交付決定前に発注・契約・購入した経費は補助対象外です。
・申請の準備段階では、見積取得までは可能かつ必要ですが、それ以上の手続きはできません。
・補助事業の発注先の選定にあたり、発注総額が100万円(税込み)超の経費については、原則として2者以上から同一条件による見積りをとることが必要です。
・採択と交付申請は別審査です。補助対象経費は交付申請時に再度判断されます。
機械装置等費
補助事業に必要な機械装置や器具などの購入費。販路開拓や業務効率化といった補助目的に合致する設備導入が対象です。
対象となる経費例
- 生産・販売拡大に必要な厨房機器(オーブン、冷凍冷蔵庫など)
- 試作品製造や新サービス提供に用いる特殊機器(3Dプリンターなど)
- 作業効率向上のための業務用機械(ブルドーザーなど)
※ただし、Webサイト制作やシステム開発は機械装置等費ではなく「ウェブサイト関連費」で申請が必要です。
注意点(対象外の経費など)
- 通常業務用の買い替え・更新・修理目的は対象外
- 汎用的に使われる物品(パソコン、タブレット、WEBカメラ等)は原則対象外
- 自動車・船舶・動植物、個人やオークション経由での中古購入も対象外
- 中古品は50万円(税抜)未満である必要があり、2者以上からの見積取得が必須
広報費
パンフレット・ポスター・チラシ等を作成および広報媒体等を活用するために支払われる経費です。 補助事業に基づく商品・サービスの認知向上や販路開拓を目的とした広告宣伝活動にかかる費用が対象で、単なる会社の宣伝や営業活動は補助対象外です。
対象となる経費例
- 商品・サービスの広告を目的としたチラシ・カタログの制作・発送
- 新聞・雑誌・屋外看板などへの広告出稿
- 郵送DM、街頭ビジョン広告、デジタルサイネージ広告の掲載料
- 試供品(販売用商品と明確に異なるもの)
- 販促品(商品・サービスの広告が掲載されたもの)
注意点(対象外の経費など)
- 販路開拓に結びつかない内容(社名のみ・宣伝文句なし等)は対象外
- 動画やWeb媒体の制作費(例:映像広告の作成)は「ウェブサイト関連費」で申請が必要
- 名刺や会社案内、求人広告、単なる会社PRは対象外
- 広告物の未使用分・補助事業期間外の広告掲載も対象外
ウェブサイト関連費
販路開拓や業務効率化を目的として、WebサイトやECサイト、システム等の開発・構築・更新・運用にかかる費用が対象です。 この費目だけでの申請は不可で、必ず他の経費(例:機械装置等費)と組み合わせて申請する必要があります。
対象となる経費例
- 商品販売のためのWebサイトの新規作成・改修
- ECモールの出店・システム利用料、商品登録作業費
- インターネット広告・バナー広告、SNS広告の出稿費
- プレスリリースのネット配信、電子パンフレットの作成
- SEO対策(効果や作業内容が明確なもの)
- 販促用の画像や動画の制作
- オフライン含むシステム開発、顧客管理・業務支援ソフトの導入(目的明確なものに限る)
注意点(対象外の経費など)
- 申請額の上限は補助金交付申請額の1/4(最大50万円)です
- Web制作・動画制作のみで完結する事業は対象外(他の費目と組み合わせが必要)
- 単なる会社紹介や営業目的のウェブ広告は対象外
- 有料配信・有料講座で使用する動画や電子教材は対象外
- 電子書籍出版や販売を目的としたシステム・ソフトウェアの開発は対象外
- 汎用ソフトや事務用ソフト、既存ソフトの更新料は対象外
小規模事業者持続化補助金のウェブサイト関連費は、必要要件や対象外の線引きが細かい経費項目ですので、他の経費とのバランスや補助対象期間との整合性にも注意が必要です。
展示会等出展費(オンライン展示会を含む)
新商品やサービスの販路開拓を目的として展示会・商談会へ出展・参加するための費用が対象です。オンライン開催の展示会・商談会も含まれます。
対象となる経費例
- 展示会・商談会への出展料
- 展示物の輸送にかかる運搬費(※レンタカー代・ガソリン代・駐車場代は対象外)
- 通訳・翻訳費(会場説明用など、展示会に直接関係するもの)
※自社主催イベントの会場借上費は「借料」として別扱い
※展示用機材の購入費は「機械装置等費」として別扱い
注意点(対象外の経費など)
- 交付決定前に支払い済みの出展料・関連費用は対象外(出展申込は可能だが、支払いは交付決定後)
- 他の補助金等で出展料の一部助成を受けている場合は対象外
- 販売のみを目的とし、販路開拓に繋がらない展示会は対象外
- 補助事業期間外に開催される展示会・商談会も対象外
- 審査会・コンテスト等の参加費は対象外
展示会出展は補助金の目的である「販路開拓」と直結しやすい一方、交付決定前の支払い等には特に注意が必要です。他の費目との区分も明確にして申請することが重要です。
旅費
補助事業計画に基づいて行う販路開拓のための出張(例:展示会・商談会の参加等)にかかる旅費が対象です。通常の営業活動や視察は対象外となります。
対象となる経費例
- 展示会等に出展・参加するための宿泊費(ビジネスホテル等)
- 公共交通機関による移動費(バス・電車・新幹線の指定席、航空券〈エコノミー〉)
- 航空保険料、出入国税(海外出張時)
注意点(対象外を含む)
- 補助事業計画に記載のない出張や、単なる営業活動目的の出張は対象外
- 必要最低限の人数分のみ対象(不要な同行者分は対象外)
- 以下の費用は対象外:
- 日当、ガソリン代、駐車場代、レンタカー代、タクシー代、高速代
- グリーン車・ビジネスクラス等の上位クラス料金
- 視察・セミナー・営業目的・個別商談による出張旅費
旅費は必要性や妥当性の説明が重要な費用区分です。出張報告書の作成や出張目的の明示が採択後も求められますので、計画段階から明確にしておくことがポイントです。
新商品開発費
新商品や新サービスの開発に向けた試作・改良・包装パッケージのデザイン等に要する費用が対象です。あくまで「試作開発」に限定され、販売用ではなく、補助事業期間中に使用・消費されるものに限られます。
対象となる経費例
- 試作品開発のための原材料費
- 新たに設計・デザインする包装パッケージの開発費用(試作用)
- 新商品の形状や仕様改良のための加工・製造費
注意点(対象外経費など)
- 試作目的であっても、実際に使い切らなかった原材料は対象外
- 以下のような費用は補助対象外:
- 開発した商品をそのまま販売する場合の費用
- デザイン変更のない既存パッケージの印刷・購入費用
- 完成品の販売用パッケージ(本番印刷)
- システムやウェブ構築関連費用(これらは「ウェブサイト関連費」で申請)
新商品開発費は、「試作・試験段階に限る」点が最大のポイントです。補助対象かどうかは「販売目的ではなく、補助事業中に使い切る開発工程か」が判断基準となります。
借料
補助事業を遂行するために必要な機器・設備等のリース料・レンタル料、または会場等の賃借料が対象です。補助対象は、あくまで補助事業に直接関連し、期間・使用内容が明確なものに限られます。
対象となる経費例
- 補助事業で使用する機器・設備等のレンタル費用(契約期間が補助期間内)
- 商品・サービスPRイベント開催のための会場借上費
- 新たな販路開拓に伴い借りる新設の事務所・スペースの賃料(既存ではないこと)
注意点(対象外経費など)
- 補助事業以外にも使う設備・スペースのレンタル費用は対象外
- 通常の事務所や設備の継続使用、既存の事務所賃料は対象外
- 契約期間が補助事業期間を超える場合は、補助対象期間分のみ按分計上
- 床面積の按分資料や契約書の提出が必要(特に事務所等を借りる場合)
- 自主事業や通常の生産活動で使う設備のリース・レンタルは対象外
借料は、「新たな取組に伴って必要となる賃借」かどうかがポイントです。 事前見積書の取得、契約期間の調整、使用目的の明確化が求められます。
委託・外注費
対象は「グローバル枠」のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業のみです。 補助対象経費(税抜)の5分の1が上限です。
対象となる経費
- 本事業に必要な通訳費
- 広告宣伝・販売促進に必要な翻訳費
上限額
税抜30万円まで(補助金額ベース)
広告宣伝・販売促進費
補助事業の遂行に必要な業務のうち、自社での実施が困難な業務を第三者に委託・外注する費用が対象です。 補助事業との関連性が明確で、かつ成果物が確認できるものに限ります。
対象となる経費例
- 店舗の改装・バリアフリー化工事
- 設備導入に伴うガス・水道・排気工事
- 移動販売車の内装・改造工事
- インボイス制度対応に伴う専門家(税理士・中小企業診断士など)への相談費用
- テレアポ代行等の業務委託費
※ウェブ・システム関連の委託費は「ウェブサイト関連費」で申請すること
注意点(対象外経費など)
- 自社の通常業務に該当する業務の外注は原則不可(例:デザイン会社がデザインを外注)
- 委託先が再委託することを前提とする契約は対象外
- 補助事業と無関係な改装(例:店舗移転のみが目的、住宅部分の工事)は対象外
- 建物の増築・増床やコンテナ設置など「不動産の取得」に該当するものは対象外
- 長期間第三者に貸与する前提の施設・スペースの改装は対象外
小規模事業者持続化補助金の委託・外注費は、業務の外注が合理的か、成果物が明確かが審査や精算の際に重要な判断ポイントになります。 計画段階で業務範囲や契約形態をしっかり整理しておくことが大切です。
補助対象外の経費
補助金はあくまで販路開拓や業務効率化といった補助事業の目的に直接必要な経費に対して支給されます。 下記に該当する経費は補助対象外となり、申請・精算時に除外されます。
主な対象外経費の分類と例
- 他制度と重複する経費:
就労継続支援A/B型、介護サービス、保険診療などで国の助成や報酬が適用される事業の経費 - 通常事業にかかる経費:
商品の仕入、老朽設備の単なる入替、事務用の家具や備品購入 - 販売・レンタル目的の製作費:
有料教材、電子書籍の出版、レンタル用機材の購入など - 他社のための支出:
他社の広告・製品製造、協賛金、寄付金など - 自動車等車両の購入:
自動車、キッチンカー、フォークリフト、トレーラー等 - その他、補助対象外の経費(主な例):
社内取引・親族企業・関連会社との取引/個人・オークションからの購入/ 文房具、名刺、消耗品、飲食・贅沢・接待費/ 家賃保証金、敷金、光熱費、通信費、税理士・弁護士費用/ 不動産取得や建物増築費、車検費、リフォーム費の一部/ 補助事業期間内に引き落とし完了しない支出(分割・リボ払い等)/ 人件費(アルバイト代等)/ コンサルティング費用(※インボイス制度対応を除く)
注意点
補助対象経費は、必要性・妥当性・実績(証憑書類)により明確に証明できることが必須です。 曖昧な支出は事後精算で不承認となる可能性があるため、事前に補助事業計画と照らして整合性を確認することが重要です。
まとめ
小規模事業者持続化補助金の申請では、要件に沿いつつ、生産性向上など制度の目的も考慮した事業計画を策定して申請することが重要です。 筆者は、銀行および投資銀行での勤務経験を持つ行政書士として、一貫性のある財務データに裏付けられたストーリー性のある事業計画の作成を得意としています。
また、当事務所では、当事務代表と同様に知識と経験が豊富な提携先の行政書士と共同で、単独受任時と変わらない報酬体系での支援も行っています(なないろバックオフィス)。 小規模事業者持続化補助金の支援実績も豊富です。
とくに「初めてで不安」、「申請書をうまく作れない」と感じている方は、お気軽にご相談ください。 LINE・フォーム・お電話から、初回無料でご相談いただけます。安心・確実な申請をご支援いたします。
提携先:行政書士藤原七海事務所
参考法令・資料
- 小規模事業者持続化補助金<一般型> 第18回公募 公募要領(第3版)
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行政書士
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