2025年 ものづくり補助金の加点項目 - 銀行出身の行書書士が解説!
【2025年6月8日更新】
2025年は既に終わった19次を含めて、20次、21次、22次まで、全4回のものづくり補助金の公募があると公表されています(6月5日説明会にて)。 ものづくり補助金の採択率は、近年30%~40%で推移しており、採択に向けては、事業計画の内容に加えて、加点をいかに積み上げるかが極めて重要です。
本稿では、銀行への勤務経験もある行政書士が、本稿では、公募要領に記載の審査項目も参考に、ものづくり補助金の加点項目について詳しく解説します。

「ものづくり補助金」の概要、スケジュール、補助率、補助上限額、補助対象経費、事業計画書の書き方について、下記の記事で詳しく解説しています。
ものづくり補助金2025 ― 要件、対象の経費、申請のポイントを解説ものづくり補助金の事業計画書の書き方目次
1.経営革新計画

経営革新計画は、中小企業等経営強化法に基づき、都道府県知事等から承認を受けることで、「新事業進出補助金」や「ものづくり補助金」等の審査で加点となる制度です。自社の強みを生かし、新製品・新サービスの開発や新たなビジネスモデル導入による売上高や付加価値額の増加を目指します。承認を受けた企業は、金融支援や信用保証の特例も利用できます。
- 認定要件:
- 数値目標の設定:3~5年で売上高または付加価値額を法令基準以上に伸ばす目標を設定(例:売上高年平均5%以上増など)。
- 革新的取組の明示:新商品の開発、サービス提供方法の刷新、流通チャネル拡大など自社にとって新規性のある取組を記載。
- 実現可能性の裏付け:市場調査や技術面の優位性、収支計画等を添付し、目標達成の実現性を説明。
- 申請手続き:所在地の都道府県に所定の申請書を提出。必要に応じて専門家(商工会・商工会議所など)の確認書を添付。
- 計画策定・資料準備に1~2か月程度
- 都道府県による審査(書類+面談)に1~2か月程度
- 全体で2~3か月ほどで承認書が交付されるケースが多いです
承認後は、中小企業基盤整備機構の低利融資や信用保証枠拡大等の支援を受けることができます。また、ものづくり補助金や事業再構築補助金などでも加点や優遇の対象となります。
経営革新計画は申請ハードルがやや高めですが、金融面と補助金審査の両方でメリットがあるため、早めの計画づくりをおすすめします。
2.パートナーシップ構築宣言

パートナーシップ構築宣言とは、大企業と中小企業の共存共栄や下請取引の適正化を目的に政府が推進する自主宣言制度です。 自社のウェブサイト等で宣言文を公表し、専用ポータルサイトに登録することで「宣言企業」として認められます。
認定要件(宣言の内容と手続き): 自社が取引先とのパートナーシップを構築するために取り組む事項(例えば下請企業への適正な配慮や価格決定の透明化など)を明記した宣言文を作成し、公表することが必要です。 具体的な様式はパートナーシップ構築宣言ポータルサイトから入力・登録します。特別な審査はなく、フォーム送信のみの簡単な手続きで完了します。
取得までの期間: オンラインで宣言内容を登録すれば即日〜数日程度でサイト上に公表されます。9項目の中でも最もハードルが低いと言えます。公式ポータルサイト上で宣言企業一覧に掲載されることで対外的なアピールにもなります。 なお、パートナーシップ構築宣言は、ものづくり補助金のみならず、中小企業新事業進出補助金においても加点にもなります。
3.DX認定制度

DX認定制度は、企業がデジタル技術を活用し、経営や業務の変革(DX)に向けて組織体制や戦略を整えていることを、国が公式に認定する制度です。認定を受けた企業は「DX認定事業者」として公表され、対外的な信頼や各種補助金の加点につながります。
認定要件(申請の内容と手続き):「デジタルガバナンス・コード」に基づき、
- 経営ビジョンや戦略
- DX推進体制
- ITシステムの整備
- デジタル人材の育成・確保
- セキュリティ対策
- 情報発信とステークホルダー対話
取得までの期間:申請は随時受付。審査期間は標準で60営業日とされており、毎月決裁のうえ翌月初旬に認定企業が公表されます。認定の有効期間は2年間で、引き続き認定を受ける場合は有効期限の60日前までに更新申請が必要です。
DX認定は、ものづくり補助金の加点対象となるほか、日本政策金融公庫による金利優遇のメリットもあります。 また、DX認定を受けた企業は、ホームページや名刺などに「DXに取り組んでいる会社」であることをアピールするために、専用のロゴマークを使うことができます。
4.健康経営優良法人認定制度

健康経営優良法人認定制度は、従業員の健康保持・増進を経営課題として取り組む優良企業を経済産業省と日本健康会議が公式に顕彰し、「見える化」する仕組みです。 認定企業は「健康経営優良法人」として公表され、ロゴマークをホームページや名刺等に掲示して 企業の信頼性や採用力を高めることができます。
認定要件(申請の内容と手続き):中小規模法人部門では、下記6項目について 所定のチェックシートとエビデンス資料を添付し、年1回(概ね8〜10月)に Web申請します。
- 経営理念への位置づけとトップのコミットメント
- 推進組織・責任者の配置(組織体制)
- 健康課題の把握と具体的目標設定
- 制度・施策の実行(定期健診受診率100%、長時間労働対策 等)
- 評価・改善(PDCA サイクルの運用)
- 法令遵守・リスクマネジメント
- 準備:現状把握・施策実行・データ整備に3〜6か月程度
- 申請受付:毎年8〜10月ごろ
- 審査・認定:翌年3月上旬に結果公表(有効期間は1年間)
健康経営優良法人認定は、ものづくり補助金のみならず、中小企業新事業進出補助金などで加点対象とされ、 金融機関の優遇融資・自治体の入札加点などインセンティブも受けられます。
5.技術情報管理認証制度(TICS認証)
技術情報管理認証制度(通称:TICS)は、企業内で重要な技術情報やノウハウを適切に管理する体制を整えていることを第三者機関が認証する制度です。経済産業省が定めた基準に基づき、政府認定の民間認証機関が企業の情報管理体制を審査します。取得企業は経産省ウェブサイトに社名が公表され、認証マークを対外的に使用できるほか、補助金申請時に加点措置を受けられます。
認証要件: 産業競争力強化法に基づく制度であり、自社の守るべき技術情報を洗い出し、漏えい防止のための管理措置を講じていることが求められます。具体的には、機密情報へのアクセス権管理、社内規程の整備、従業員との秘密保持契約、サイバーセキュリティ対策など、多方面の情報セキュリティ措置を実施している必要があります。それらの体制について認証機関の書面審査・現地審査を受け、基準適合と判断されれば認証が取得できます。審査基準は ISO 27000 シリーズに類似しますが、本制度は特に自社の重要技術やノウハウの保護に焦点を当てている点が特徴です。
取得までの期間: 認証取得までの期間は比較的短く、申込みから約1〜2か月が目安とされています。事前に社内ルール整備や機密情報の特定を済ませておけば、審査プロセス自体は数週間程度で完了するケースもあります。ただし企業の規模や拠点数によって多少前後します。また認証費用は標準で50万円程度(規模による)発生します。取得後も3年ごとの更新審査が必要です。認証取得によって取引先からの信頼性向上や他の補助金(新事業進出補助金等)でも加点対象になるメリットがあります。
6.J-StartupとJ-Startup 地域版

J-Startup(ナショナル版)
J-Startupは、経済産業省が2018年6月に立ち上げたスタートアップ支援プログラムで、実績ある有識者の推薦に基づき、世界で戦える革新的ベンチャー企業を選定し、政府機関と民間「Supporters」による集中支援を行います。
選定要件:
- ベンチャーキャピタリストや大企業新事業担当者等の外部有識者からの推薦を受けること
- 未上場かつ一定の事業実績・成長ポテンシャルを有すること
- 推薦依頼・応募:例年1月〜2月頃に実施
- 選定審査:2月〜3月に書類・面談審査
- 政府主催の海外ミッション・大型展示会への参加機会提供、他PR支援
- J-Startupロゴの使用
- ジェトロによる海外展開の支援
- ものづくり補助金での加点・入札特例など支援策での優遇
J-Startup 地域版
J-Startup地域版は、スタートアップ・エコシステム構築に積極的な自治体が主体となり、各地域に根差した有望なスタートアップを選定して支援するプログラムです。2020年以降、中国・四国、関西など複数地域で展開されています。
選定要件:
- 当該地域(例:関西なら福井・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)に本社を有すること
- ベンチャーキャピタルや事業会社からの資金調達実績を持つこと
- 未上場で、過去のJ-Startup選定歴がない(または選定資格が満たない)こと
- 応募受付:地域事務局Webサイトでスケジュール公表(例年3〜4月)
- 選定審査:書類・面談により1~2か月程度で実施
- 地域のサポーター(地元企業・VC)とのマッチング支援
- 自治体主催のピッチイベント・ネットワーキング機会の提供や販路開拓サポート
- J-Startupナショナルプログラムとの連携による海外展開の支援
- ものづくり補助金での加点
7.新規輸出1万者支援プログラム

新規輸出1万者支援プログラムは、経済産業省・中小企業庁・JETRO・中小機構が一体となり、 「輸出は初めて」、「輸出経験はあるが本格的に拡大したい」と考える中小企業を対象に1万社を支援する取り組みです。登録企業は無料カウンセリングを受け、 海外EC出展・展示会出展・商社マッチング・補助金活用など、 課題に合わせた支援メニューをワンストップで利用できます。
申請の内容と手続き:
- 専用ポータルサイトで企業情報を登録(随時受付、所要10分程度)
- 登録完了後、JETRO専門家が個別に連絡し、オンラインまたは対面で無料カウンセリング
- カウンセリング結果をもとに、最適な支援メニュー(補助金、商談会、専門家派遣 等)を提案
- 各メニューごとに必要書類を提出(補助金は別途公募要領に従い申請)
主な支援メニュー例:
- 輸出相談・伴走型ハンズオン支援:専門家が経営計画の策定から商談同席まで支援
- 越境EC支援:海外主要ECサイト「JAPAN MALL/STORE」への出展サポート
- 国内輸出商社マッチング:国内取引で輸出を完結できる商社との個別商談会
- 海外見本市・展示会出展:ジャパンパビリオン出展費の一部補助
登録から支援開始までの期間:
- ポータル登録後、1〜2週間以内に専門家が連絡しカウンセリング日程を調整
- カウンセリング実施後、即日〜数日で支援メニューの提案書が届く
- 補助金・展示会など個別事業は、各公募締切から1〜3か月で採択・実施が目安
本プログラムを活用すると、ものづくり補助金「グローバル市場開拓枠」で加点として評価されます。 登録は無料・随時受付ですので、グローバル枠での申請を検討している企業は早めの登録をおすすめします。
8.事業継続力強化計画(BCP)認定

事業継続力強化計画(BCP)認定制度は、自然災害や感染症などのリスクに備えた防災・減災の事前対策を企業が計画としてまとめ、経済産業大臣が 認定する制度です。中小企業向けの取り組みやすい簡易版BCPと位置づけられ、 認定企業は税制・金融支援や補助金審査での加点を受けられます。
認定要件(申請の内容と手続き):事業継続力強化計画指針に従い、次の 5項目 を 所定様式にまとめ、所在地を管轄する地方経済産業局へオンラインまたは郵送で提出します。
- ハザードマップ等によるリスク把握
- 従業員の安否確認・初動体制の整備
- 資金・設備・データを守る事前対策
- 災害発生時の事業継続行動計画(代替拠点・代替調達 等)
- 訓練・教育とPDCAによる計画の実効性確保
- 申請は随時受付(通年)
- 標準処理期間は約45日(審査~認定決定)
- 計画の実施期間は最大3年間。満了後は新たな計画で再申請が必要です。
- 防災・減災投資に対する特別償却(15%)などの税制優遇
- 日本政策金融公庫・信用保証協会による低利融資・保証枠拡大
- ものづくり補助金・中小企業新事業進出補助金などで加点対象
- 認定ロゴを活用した防災意識の高い企業としてのPRが可能
事業継続力強化計画(BCP)認定については、下記の私の記事で詳しく解説しています。宜しければご覧になってみてください。
9.えるぼし認定(女性活躍推進企業)

えるぼし認定は、女性活躍推進法に基づき、女性の活躍推進に優れた企業を厚生労働大臣が認定する制度です。取り組み状況に応じて★1〜3段階と最上位のプラチナえるぼしの計4段階があり、自社が達成した基準項目の数によって認定ランクが決まります。
認定要件: まず女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定・届出し、女性の登用や継続就業に関する自社の数値目標を定めます。その上で、以下の認定基準項目(厚労省が定める評価項目)のうち一定数以上を満たす必要があります。
・採用: 新卒や中途採用における女性比率
・継続就業: 女性の勤続年数、離職率
・労働時間等: 時間外労働の状況や有給取得率
・管理職比率: 女性管理職の割合
・多様なキャリアコース: 女性の配置やキャリア形成の取組み など
上記5分野で定められた基準のうち、★1なら2項目以上、★2は3項目以上、★3は5項目全てを満たすことが求められます(プラチナえるぼしはさらに高水準の要件)。要件充足後、労働局へ申請書と実績データを提出して審査を受けます。
取得までの期間: 自社の人事データ整備や社内制度の充実など準備に時間と労力を要する点が特徴です。要件をクリアするための職場環境整備には半年〜数年単位の取組みが必要でしょう。申請後の審査期間自体はおおむね1〜2か月程度で、書類審査と必要に応じてヒアリング等が行われます。実際、東京労働局の場合申請後約1.5か月で認定通知を受け取った企業の例があります。計画的にデータ収集・改善を行い、余裕をもって申請することが大切です。
えるぼし認定は、ものづくり補助金のみならず、中小企業新事業進出補助金においても加点にもなります。
10. くるみん認定(次世代育成支援認定企業)

くるみん認定は、次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づき、子育てサポート企業として厚生労働大臣から認定を受ける制度です。企業が従業員の仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組み、一定の要件を満たした場合に「くるみんマーク」を付与されます。
認定要件: まず次世代法に基づく一般事業主行動計画を策定し、社内周知・外部公表したうえで、計画を都道府県労働局に届け出ます。計画期間中に育児支援のための目標を実施・達成し、その結果を踏まえて労働局へ認定申請を行います。認定基準として、計画目標の達成に加え、育児休業の取得状況や所定外労働の削減など複数の条件があります。例えば「育児休業取得率○%以上」や「所定外労働時間の上限設定」等、企業規模に応じた基準をクリアする必要があります。
取得までの期間: 計画期間の終了後に申請できる仕組み上、計画策定から認定取得まで数年を要するケースが一般的です。たとえば 2 年間の行動計画を立てた場合、計画実施に 2 年、その後労働局での審査に 1~2 か月程度かかります。書類審査自体はおおむね 1 か月前後で完了し、認定通知と「くるみんマーク」データが交付されます。余裕をもって取り組みを開始することが重要です。
プラチナくるみんはくるみん認定のより上位の認定なので、要件を満たしますが、くるみん認定より認定のハードルが低いトライくるみん認定では、加点要件を満たさないと考えられます。関連し、くるみん認定は、ものづくり補助金のみならず、中小企業新事業進出補助金においても加点にもなります。
11. 成長加速化マッチングサービス登録
成長加速化マッチングサービスは、中小企業庁が 2025 年に開始したビジネスマッチングプラットフォームです。事業拡大や新規事業立ち上げなど成長志向を持つ中小企業が、自社の課題やニーズを登録すると、金融機関・投資家・認定支援機関などの「支援者」からコンタクトや提案を受けられる仕組みです。このサービスに会員登録(事業者登録)し、課題を登録した企業は補助金審査で加点となります。
登録要件: 日本国内の中小企業・小規模事業者であれば原則として登録可能です(利用無料)。会員登録には、中小企業庁のデータプラットフォーム「ミラサポ CONNECT」を通じて企業情報を入力し、社内の挑戦したい課題やニーズを具体的に登録します。課題例として「新商品の販路開拓」「設備投資の資金調達」「事業承継に伴う体制構築」などが挙げられます。登録内容に関心を持った支援者がいればマッチングが進みます(必ずしも支援者から連絡が来ることを保証するものではありません)。
取得までの期間: 登録手続き自体はオンラインで完結し、所要時間も短時間です。必要事項をフォーム送信すれば即時または数営業日内にアカウントが有効化され、マッチングサービス上で自社の課題が公開されます。したがって補助金申請までに間に合わせるには、申請締切直前でも登録可能ですが、余裕をもって課題内容を練って登録しておくと良いでしょう。なお本サービスへの登録により追加の報告義務等は特に発生せず、利用も無料です。
成長加速化マッチングサービスの登録は、ものづくり補助金のみならず、中小企業新事業進出補助金においても加点にもなります。
12.再生事業者
「再生事業者」としての加点は、業績不振企業の再建に取り組んでいるケースが該当します。具体的には中小企業活性化協議会(旧 中小企業再生支援協議会)や金融庁の産業復興相談センターなど、公的な事業再生支援機関からサポートを受けている企業が対象です。これらの支援のもとで再生計画(事業再生計画)を策定中、もしくは直近 3 年以内に再生計画が成立した企業であれば補助金審査で加点されます。
認定要件: 上記のような公的支援を受けていること自体が要件であり、独立した認定制度ではありません。典型的には、業績が悪化し金融機関への債務返済が困難になった中小企業が各都道府県の中小企業活性化協議会に再生支援を申し込み、専門家(金融機関 OB や中小企業診断士など)の協力を得て事業再生計画を策定するプロセスがあります。その計画が金融機関等の同意を得て成立した場合や、現在策定のため調整中である場合に「再生事業者」とみなされます。また、産業競争力強化法に基づく事業再生計画の認定を受けたケースなども含まれます。
取得までの期間: 事業再生計画の策定には相応の時間(半年〜1年以上)を要することが多いです。財務資料の精査、再建策の立案、金融機関との調整など、複数ステークホルダーとの協議が必要となるためです。実際に計画が成立すれば加点対象となりますが、その頃には経営再建の途上にある状況と言えます。したがって「加点のために敢えて再生事業者になる」ものではなく、既に再生支援が必要な企業への救済措置的な加点と捉えるのが良いでしょう。自社が万一その状況にある場合には、早期に専門家に相談し、公的支援を受けることで結果的に補助金加点も得られる可能性があります。
13.賃上げ
補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、従業員及び役員の給与支給総額の年平均成長率を 4.0%以上増加、並びに事業所内最低賃金を毎年3月、地域別最低賃金より+40 円以上の水準を満たす目標値を設定し、設定した目標値を交付申請時までに全ての従業員又は従業員代表者、役員に対して表明している事業者は、加点になります。
補助金の申請にあたっては、すでに実質約4%の賃上げ(地域ごとに2.8%~4.3%)および最低賃金に30円以上上乗せした給与の支払いが要件として求められています。 そのため、加点対象となる賃上げ条件(4%以上の賃上げ+最低賃金+40円)との差はごくわずかです。 よって、加点を見据えた計画を立てる方が、採択率の向上という点で合理的と言えるでしょう。
14.被用者保険(任意適用)
被用者保険の任意適用とは、従業員50人以下の中小企業が、 本来は加入義務のないパート・アルバイト等の短時間労働者にも、厚生年金・健康保険を適用する制度です。
補助金申請上のメリット:
- ものづくり補助金等で加点対象となります
- 従業員への福利厚生強化による企業イメージの向上に繋がり、採用に有利です
- 社内で対象者の勤務条件などを確認
- 「任意適用申請書」を作成
- 管轄の年金事務所へ提出
- 承認後、個別の被保険者資格取得届を提出
- 申請は随時受付
- 標準的な認定期間は2~4週間です
注意点として、任意適用が認められると、原則としてその後ずっと社会保険の適用対象になります。対象となるパート・アルバイトにも、労使折半で保険料負担が生じるため、本人の同意取得も実務的には重要です。
15.事業承継/M&A
申請締切日を起点にして、過去 3 年以内に事業承継(株式譲渡等)により有機的一体としての経営資源(設備、従業員、顧客等)を引き継いだ事業者も加点対象です。
加点項目と取得までの期間の目安
下記がそれぞれの加点項目の取得までの期間を表にしたものです。「パートナーシップ構築宣言」と「成長加速化マッチング登録」の2つは簡単に取得が可能ですので、採択に向けては実質必須の加点項目と言ってもいいと思います。 加えて、「賃上げ加点」は前述の通り、賃上げ要件よりほんの少しの上乗せでとれますので、加点を狙いたい項目である他、事業継続力強化計画(BCP)認定も、申請までの期間に余裕があれば、この中ではとりやすい加点項目です。
No. | 加点項目 | 取得までの期間 |
---|---|---|
1 | 経営革新計画承認 | 2~3か月(計画策定+審査) |
2 | パートナーシップ構築宣言 | 即日~数日 |
3 | DX認定 | 約2~3か月(審査60営業日) |
4 | 健康経営優良法人 | 5~6か月(準備~審査) |
5 | 技術情報管理認証(TICS等) | 1~2か月 |
6 | J-Startup/J-Startup地域版 | 1~3か月(推薦~審査) |
7 | 新規輸出1万者支援プログラム | 登録後1~2週間 |
8 | えるぼし認定 | 半年~数年+審査1~2か月 |
9 | くるみん認定 | 2~3年(計画期間終了後、審査1~2か月) |
10 | 事業継続力強化計画(BCP)認定 | 約1.5か月(審査45日) |
11 | 成長加速化マッチング登録 | 即日~数営業日 |
12 | 再生事業者 | 半年~1年以上 |
13 | 被用者保険(任意適用) | 2~4週間 |
14 | 賃上げ加点(4%+最低賃金+40円) | 事業計画に織り込む |
15 | 事業承継・M&A | 状況による(新手続き不要) |
下のグラフは、加点項目の数と採択率の関係(16次公募)を表しています。 できれば加点項目は4つを目指し、最低でも3つは確保したいところです。

まとめ
「ものづくり補助金」は、最大1,250万円の補助が見込める中小企業向けの代表的な設備投資支援制度ですが、 近年は採択率が30~40%程度と決して高くなく、事業計画の精度と加点対策が採否を大きく左右します。
筆者は、銀行での法人営業経験を有する行政書士として、これまで多数の中小企業様の補助金申請を支援してまいりました。 単なる申請代行ではなく、金融機関出身者としての視点も活かし、投資の妥当性・採算性を踏まえた計画立案から加点獲得まで一貫してサポートいたします。
また、当事務所では、代表と同等の経験・スキルを持つ行政書士と連携し、単独受任時と変わらない報酬水準での共同受任も行っております。品質と対応力の両立を重視するお客様にご好評いただいております。 LINE、問い合わせフォーム、お電話にてお気軽にご相談ください。丁寧かつ実務的な対応で、貴社の採択を全力で支援いたします。
提携先:行政書士藤原七海事務所
参考法令・資料
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金-公募要領(第20次公募)
- 全国中小企業団体中央会- ものづくり補助金 - よくある質問
- 参考様式 事業計画書 記載項目(第20次締切分)
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行政書士
基本情報技術者
J.S.A. ワインエキスパート
古森洋平 Yohei Komori
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