ものづくり補助金の対象経費について行政書士が詳しく解説します!
【2025年7月6日作成】
中小企業が、新たな製品・サービス開発や海外市場進出に取り組むため、国は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」を実施しています。 ものづくり補助金では、企業の成長や賃上げ、付加価値向上を狙った事業計画に対して、必要な設備投資やシステム構築の経費の一部が補助されます。 本稿では、ものづくり補助金の対象経費について、銀行と投資銀行に勤務経験のある行政書士の古森(こもり)が解説します。 なお、当事務所と提携先の行政書士藤原七海事務所(あわせて、なないろバックオフィス)では、ものづくり補助金の支援実績が多数ございます。
2025年は既に終わった19次を含めて、20次、21次、22次まで、全4回のものづくり補助金の公募があると公表されており(6月5日説明会にて)、チャンスが多いです。本稿をご覧になり要件にあてはまる方は、是非チャレンジしてみてください。

この補助金には、2つの目的に応じた枠があります。 「製品・サービス高付加価値枠」は、自社の技術や強みを活かし、革新的な新製品・新サービスを開発する取組を支援するもので、単なる生産工程の改善や効率化は対象外となります。 一方、「グローバル枠」は、輸出やインバウンド対応、海外企業との連携など、海外市場の開拓を通じて国内の生産性を高める事業が対象であり、これに必要な設備投資やシステム導入などが補助されます。
それぞれの枠によって補助の対象となる経費が少し異なります。どの経費が対象となるかを正しく理解していただけるよう、次の章以降では、各経費区分ごとに分かりやすく丁寧にご説明いたします。
各経費に共通の注意事項
・交付決定前に発注・契約・購入した経費は補助対象外です。
・申請の準備段階では、見積取得までは可能かつ必要ですが、それ以上の手続きはできません。
・単価 50 万円(税抜)以上の物件等については、原則として2者以上から同一条件による見積りをとることが必要です。
・採択と交付申請は別審査です。補助対象経費は交付申請時に再度判断されます。
機械装置・システム構築費
単価50万円(税抜)以上の設備が必須であり、専ら補助事業のために使用される以下の費用が対象です。
- 機械・装置・工具(測定・検査工具等)の購入・製作・リース費用
- ソフトウェア・情報システムの購入・構築・リース費用
- 上記に付随する改良・修繕・据付け費用(軽微な設置に限る)
補足事項:
- リース契約は補助事業期間中の分だけ対象
- 設置場所の整備や基礎工事は対象外
- 中古品でも3社以上から見積取得すれば対象
- グローバル枠では、海外子会社への貸与も一定条件下で可能
運搬費
運搬費とは、運搬料や宅配・郵送料など、物品の移動に要する費用を指します。ただし、購入時の機械装置にかかる運搬料については「運搬費」としてではなく、「機械装置・システム構築費」に含めて計上することが定められています。 費用区分によって取り扱いが異なるため、正確な分類が必要です。
技術導入費
技術導入費とは、本事業の実施に必要な特許や実用新案などの知的財産権を導入する際にかかる費用を指します。補助対象経費総額(税抜)の3分の1が上限となっており、知的財産権を保有する他者から取得する場合(実施権の取得を含む)は、必ず書面による契約が必要です。 また、同一の支出先に対しては、技術導入費としての支払いに加え、専門家経費や外注費を併せて支払うことはできません。費用の重複計上を避ける必要があります。
知的財産等関連費
知的財産権等関連経費とは、新製品・新サービスの事業化にあたり必要となる特許権などの取得に関連する費用を指し、補助対象経費総額(税抜)の3分の1が上限となります。 対象となる費用には、弁理士による手続代行費用や、外国特許出願時に必要な翻訳料などが含まれます。ただし、補助対象となるのは本事業で生まれた発明等に関するもので、補助事業の実施期間内に出願手続きが完了していない場合は対象外となります。 また、特許庁に納付する出願料や審査請求料、特許料などの手数料、および拒絶査定に対する審判請求や訴訟に要する費用も補助対象外です。なお、国際規格の認証取得にかかる費用は対象となり、本事業で取得された知的財産権はすべて申請事業者に帰属します。
外注費
新製品・新サービスの開発に必要な加工、設計(デザイン)、検査などを外部へ委託(請負・委託等)する際に発生する経費です。
- 補助対象経費総額(税抜)の2分の1が上限です。
- 書面による契約の締結が必要です。
注意点
- 外注先が機械装置等の設備を購入する費用は対象外
- 機械装置等の製作を外注する場合は、「機械装置・システム構築費」に計上が必要
- 過去1年以内に「ものづくり補助金」で採択された事業者を外注先とすることは不可
- 技術導入費や専門家経費と同一の外注先に支払うことは不可
専門家経費
専門家経費は、補助事業の実施に必要な専門家への謝金やコンサルティング報酬などが対象であり、補助対象経費(税抜)の2分の1が上限です。
対象となる経費
- コンサルティング業務: 製品・サービスの開発、設計、セキュリティ対策等に関する助言・技術指導など。 (例:セキュリティ設計アドバイス、JC-STARラベル取得支援など)
- 謝金: 専門家に支払う報酬(依頼内容に応じた価格の妥当性を示す複数の見積書が必要)
注意点
- 専門家経費を支出する相手には、外注費や技術導入費を重複して支出できません。
- 申請時に事業計画書の作成を支援した者への謝金は補助対象外です。
クラウドサービス利用料
補助対象となるのは、専ら本事業のために使用するクラウドサービスの利用費です。
対象となる経費
- サーバーの領域使用料(クラウド上のディスクを借りる費用)
- サーバー上のアプリやサービスの利用料
- 必要最小限の付帯費用(ルータ使用料、プロバイダ契約料、通信料 など)
対象外の経費
- 他事業と併用しているクラウドサービス費用
- サーバー本体の購入費やレンタル費用
- パソコン、タブレット、スマートフォンなどの本体費用
※契約期間が補助事業期間を超える場合は、按分して補助対象期間分のみ申請可能です。 見積書や契約書などで利用内容が確認できる必要があります。
原材料費
原材料費については、試作品の開発に必要な材料や副資材の購入費用が対象となります。 ただし、いくつかの注意点があります。
- 購入する材料の量は必要最小限にとどめる必要があります。
- 補助事業の実施期間内に使い切ることが原則とされています。
- 期間終了時点で使用せず残っている材料は、補助の対象にはなりません。
海外旅費
対象は「グローバル枠」のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業のみです。 補助対象経費(税抜)の5分の1が上限となります。
対象となる経費
- 本事業に必要な海外への渡航費・宿泊費等
- 国内の乗継交通費(海外渡航に必要な場合)
注意点
- 渡航は事前に計画・申請しておく必要があります。
- 本事業と無関係な海外出張や観光目的の旅費は対象外です。
通訳・翻訳費
対象は「グローバル枠」のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業のみです。 補助対象経費(税抜)の5分の1が上限です。
対象となる経費
- 本事業に必要な通訳費
- 広告宣伝・販売促進に必要な翻訳費
上限額
税抜30万円まで(補助金額ベース)
広告宣伝・販売促進費
対象は「グローバル枠」のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業のみです。高付加価枠では、広告宣伝・販売促進費が対象経費とされていない点がポイントです。 補助対象経費(税抜)の2分の1が上限です。
対象となる経費
- 本事業で開発する新製品・新サービスの海外展開に必要な広告物の制作費(例:パンフレット・動画・写真など)
- 媒体掲載費(Web・紙媒体など)
- 海外展示会出展にかかる費用
- ブランド構築やプロモーションに関する費用
対象外となる経費
- 自社全体のPR広告や、本事業と無関係な製品の広告費
- マーケティング市場調査費
- 契約書など事業計画に関する翻訳
注意点
- 補助事業実施期間中に広告の使用・掲載や展示会の開催が完了している必要があります。
- 発注・契約は交付決定後でなければ補助対象となりません。
上限額
税抜30万円まで(補助金額ベース)
補助対象外の経費
最後に、補助対象にならない主な経費についてご紹介します。 ここでご紹介するのは一部抜粋ですので、申請時には必ず公募要領を確認するか、不明な点があれば当事務所までお気軽にご相談ください。
- 建物・構築物関連:工場建屋、組立用部材、整備・基礎工事など
- 再エネ設備:ソーラーパネル等の発電設備・一体設備
- 水道光熱費・通信費:家賃、保証金、電話代、インターネット料など
- 消耗品・事務用品:文房具、新聞・雑誌代、会費など
- 不動産・車両関連:土地・建物・車両の購入・修理・車検費用
- 手数料・税金:振込・印紙代・消費税・保険料・利息等
- 汎用性の高い物品:PC、タブレット、プリンタ、ソフト等(専用使用と認められる場合を除く)
- 価格根拠が不明な中古設備:中古市場に流通しないものなど
- 自社の人件費:特にソフトウェア開発等に関する人件費
- 関係者間の取引:同一代表者・資本関係企業への支払い
まとめ
ものづくり補助金の申請では、要件に沿いつつ、生産性向上など制度の目的も考慮した事業計画を策定して申請することが重要です。 筆者は、銀行および投資銀行での勤務経験を持つ行政書士として、一貫性のある財務データに裏付けられたストーリー性のある事業計画の作成を得意としています。
また、当事務所では、当事務代表と同様に知識と経験が豊富な提携先の行政書士と共同で、単独受任時と変わらない報酬体系での支援も行っています(なないろバックオフィス)。 ものづくり補助金の支援実績も豊富です。
とくに「初めてで不安」、「申請書をうまく作れない」と感じている方は、お気軽にご相談ください。 LINE・フォーム・お電話から、初回無料でご相談いただけます。安心・確実な申請をご支援いたします。
提携先:行政書士藤原七海事務所
参考法令・資料
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金-公募要領(第20次公募)
- 全国中小企業団体中央会- ものづくり補助金 - よくある質問
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行政書士
基本情報技術者
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古森洋平 Yohei Komori
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