小規模事業者持続化補助金 経費明細表の書き方とポイント|行政書士・元銀行員がわかりやすく解説

【2025年8月28日作成】
中小企業庁が実施する「小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>」は、物価高騰や人件費の上昇、インボイス制度への対応など、制度・経営環境が大きく変化する中で、地域を支える小規模事業者の販路開拓や業務効率化の取り組みに対して、その経費の一部を補助する制度です。

小規模事業者持続化補助金の申請において、「経費明細表」は単なる提出書類ではなく、「事業計画書」と同様に「審査される」書類です。 本稿では、銀行および投資銀行での勤務経験を有する行政書士の古森洋平が、公募要領の審査基準をもとに、採択に向けた「経費明細表」の書き方と審査のポイントを解説します。

なお、当事務所と提携先の行政書士藤原七海事務所(あわせて、なないろバックオフィス)では、小規模事業者持続化補助金を含む補助金の支援実績が多数ございます。

小規模事業者持続化補助金 第18回公募 ― 要件、経費経費、申請のポイントを詳しく解説

小規模事業者持続化補助金(第18回公募)について、申請要件やスケジュール、対象経費、申請のポイントなどは、以下の記事で詳しく解説しています。 また、本記事内でも触れていますが、「経費明細表」は「事業計画書」と関連づけて記載する必要がありますので、あわせて以下の「事業計画書」について解説した記事もご参照ください。

小規模事業者持続化補助金 第18回公募 ― 要件、スケジュール、対象経費、申請のポイントを行政書士が詳しく解説小規模事業者持続化補助金 事業計画書と書き方と審査のポイント|行政書士・元銀行員がわかりやすく解説

補助対象の経費

経費明細表の書き方を解説する前に、まずは補助対象となる経費の全体像を確認しておきましょう。
経費区分は全部で11種類に分かれており、いずれも「販路開拓」や「業務効率化(生産性向上)」といった取り組みに役立つものが対象となります。

小規模事業者持続化補助金は、こうした取り組みを支援する制度であるため、補助対象経費もその目的に合致していることが求められます。

経費区分内容補助対象の例備考
① 機械装置等費業務効率化に資する設備の導入費用製造機器、厨房設備、冷蔵ショーケース等一部例外あり
② 広報費新たな顧客獲得のための広告・宣伝費チラシ、看板、新聞広告、折込広告等「販路開拓」に直結する内容に限る
③ ウェブサイト関連費サイト構築や新規機能追加等ECサイト構築、予約システム導入申請額の1/4が上限
④ 展示会等出展費展示会・商談会への出展にかかる費用ブース設営、出展料、関連する印刷オンライン展示会も対象
⑤ 旅費販路開拓に必要な国内出張の費用展示会参加、商談のための交通費国内出張に限る
⑥ 開発費新商品・サービスの試作等の費用原材料費、外注加工費開発に直結する内容に限る
⑦ 資料購入費補助事業に必要な資料等の購入費用業界レポート、統計資料など事業と明確な関係が必要
⑧ 専門家謝金専門家からの助言・指導に対する謝金中小企業診断士等の助言料所属団体への支払は対象外
⑨ 専門家旅費招へいした専門家の旅費コンサルタントの交通費・宿泊費活動内容との関連性が必須
⑩ 設備処分費不要設備の廃棄・処分に要する費用老朽機器の廃棄など補助事業に使われる必要あり
⑪ 委託・外注費業務の一部を外部に委託・外注する費用デザイン制作、改装工事、動画制作

小規模事業者持続化補助金の対象となる経費については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

小規模事業者持続化補助金の対象経費 | 行政書士が詳しく解説

経費明細表の書き方

小規模事業者持続化補助金の経費明細表は、事業計画書と同じく電子申請システム上で入力して提出します。
下記の実際の入力画面には、補助事業で使用する予定の経費を、先ほど解説した経費区分ごとに金額を明記する欄が設けられています。
例えば「機械装置等費」、「広報費」、「展示会等出展費」、「委託・外注費」、など、対象経費の11区分に沿って入力します。上段の青いボタンで一度入力した経費項目の編集も可能です。

小規模事業者持続化補助金の事業計画書_経費明細表の書き方

補助対象経費と補助金交付申請額の違い

経費明細表の入力が終わると、画面の下段に自動計算される項目が表示されます。ここでは「補助対象経費」と「補助金交付申請額」という2つの数字の違いを理解しておくことが大切です。

補助対象経費とは、申請した経費のうち補助金の対象として認められる金額のことです。例えば機械装置費や広報費など、先ほど解説した11区分に沿って入力した経費の合計がここに反映されます。

一方、補助金交付申請額は、その補助対象経費に補助率をかけた後の金額です。通常の補助率は3分の2(=2/3)ですが、赤字賃上げ特例など一部は4分の3(=3/4)が適用される場合もあります。したがって、申請者が実際に受け取れる補助金額は、補助対象経費の全額ではなく、この「補助金交付申請額」となります。

また、ウェブサイト関連費については特別な制限があり、補助対象経費の1/4以内、かつ最大50万円までしか認められません。そのため、システムでは通常の経費(a, b)とウェブサイト関連費(c, d)を分けて計算する仕組みになっています。

小規模事業者持続化補助金の事業計画書_経費明細表の書き方

自動計算される項目

入力した経費の合計値は、システム上で自動的に集計されます。申請者は金額を直接入力する必要はなく、表示された計算結果を確認するだけで問題ありません。

  • (1) 補助対象経費小計(ウェブサイト関連費を除く) (a)
  • (2) 補助金交付申請額(ウェブサイト関連費を除く) (b)
  • (3) ウェブサイト関連費に係る補助対象経費小計 (c)
  • (4) ウェブサイト関連費に係る補助金交付申請額 (d) (1/4上限、最大50万円)
  • (5) 補助対象経費合計 (e) = (a)+(c)
  • (6) 補助金交付申請額合計 (f) = (b)+(d)
  • (7) 自己負担額 (g) = (e)-(f)

このように、補助対象経費(全体の支出)と補助金交付申請額(補助率を適用した補助金部分)、そしてその差額である自己負担額が明確に区分されます。システムが自動で計算してくれるため、申請者は入力した金額が正しく反映されているかを確認することに集中できます。

経費明細と資金調達方法との関連

経費明細表で入力・自動計算された補助対象経費補助金交付申請額は、そのまま「資金調達方法」とも結びつきます。資金調達方法は、補助事業を実施するために必要な費用をどのように準備するかを示す欄であり、申請内容の実現可能性を確認するうえで審査でも重要な役割を持ちます。

入力画面には、「自己資金」、「金融機関からの借入」、「その他」といった選択肢があり、それぞれの資金調達先と金額を明記します。ここで注意すべき点は、下記1.の補助金額は経費明細表の補助金交付申請額と必ず一致させる必要があるということです。また、合計金額が経費明細表の補助対象経費合計と整合している必要があります。

つまり、補助金は事業終了後に精算払いで交付されるため、事業の実施段階ではまず全額を自己資金や借入などで立て替える必要があります。そのうえで、補助金として申請した金額が後から支払われる流れになります。このため、資金調達計画の現実性が欠けていると「実際には事業を遂行できないのではないか」と判断され、採択にも影響を及ぼす可能性があります。

小規模事業者持続化補助金の事業計画書_経費明細表と資金調達方法の関係

まとめ

小規模事業者持続化補助金の申請では、要件に沿いつつ、販路開拓と業務効率化など制度の目的も考慮した事業計画と経費明細表を策定して申請することが重要です。 また、他の補助金と比較すると申請の要件が厳しくはないので、採択に向けては、任意加点項目の取得や本稿で紹介した必要書類をきっちり揃えることも重要です。 筆者は、銀行および投資銀行での勤務経験を持つ行政書士として、一貫性のある財務データに裏付けられたストーリー性のある事業計画の作成を得意としています。

また、当事務所では、当事務代表と同様に知識と経験が豊富な提携先の行政書士と共同で、単独受任時と変わらない報酬体系での支援も行っています(なないろバックオフィス)。 小規模事業者持続化補助金の支援実績も豊富です。

とくに「初めてで不安」、「申請書をうまく作れない」と感じている方は、お気軽にご相談ください。 LINE・フォーム・お電話から、初回無料でご相談いただけます。安心・確実な申請をご支援いたします。

提携先:行政書士藤原七海事務所

参考法令・資料

  1. 小規模事業者持続化補助金<一般型> 第18回公募 公募要領(第3版)
  2. 小規模事業者持続化補助金<一般型>申請システム操作手引き

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Yohei Komori

行政書士
基本情報技術者
J.S.A. ワインエキスパート
古森洋平 Yohei Komori

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