定款の英訳・翻訳|取引先・投資家向けに行政書士が正確に作成

【2026年2月22日作成】

海外企業との取引や資金調達において、定款の翻訳(英訳)を求められることがあります。

定款(Articles of Incorporation)は、商号・本店所在地・目的・株式・取締役・意思決定・公告の方法など、会社の骨格を定める最も重要な社内規程です。取引先や投資家は、定款により「誰に代表権があるのか」「意思決定はどの手続で行うのか」「株式の譲渡・発行に制約はあるのか」といった規定を確認します。

一方で、実務の現場では次のようなお悩みが聞かれます。

  • 会社法の専門用語が多く、正確な英訳がわからない
  • 日本の会社制度(株式会社・合同会社・取締役会・監査役など)が海外の制度と混同されやすい
  • 株式に関する条項の用語(authorized / stated など)の翻訳を誤ると、意味がずれる
  • 原文と英訳の対応関係が正確ではなく、追加質問や再提出につながる
  • 提出先(取引先/投資家/当局)によっては、Certified(翻訳証明)やNotarized(公証・アポスティーユ)を求められる

定款の英訳・翻訳で重要なのは、「日本語を英語に自然に訳す」ことではなく、原文(会社法・商業登記法)の法的な意味を忠実・正確に翻訳しながら、読み手が必要な確認を取れる形にすることです。翻訳の質や形式(フォーマットの再現)が不十分だと、海外の呈出先からの追加質問や再提出、場合によっては審査や交渉の遅延につながりかねません。

本記事では、海外の取引先・投資家から定款の英訳を求められる場面を整理したうえで、どの条項が確認されやすいのか(代表権・意思決定・株式など)と、英訳で誤解が生じやすいポイントを、行政書士が実務目線で解説します。

定款(Articles of Incorporation)の英訳

1. はじめに|定款の英訳・翻訳の必要性

定款(Articles of Incorporation)は、日本の会社が「どういう会社なのか」「どのようなルールで動くのか」を示す根本規程です。国内の手続だけでなく、海外の取引先や投資家(VC・事業会社・ファンド等)との交渉においても、 会社の基本設計を示す資料として提出を求められることが増えています。

履歴事項全部証明書は何人でも請求と取得が可能ですが、定款には公示制度がありません。また、海外の取引先や投資家は、日本語を正確に読めるわけではありません。 そのため、「日本語の原本+英訳」を受け取り、そこから代表権や意思決定、株式の取扱いなどをチェックすることになります。

ここで、翻訳・英訳の質や形式が不十分だと、追加質問や再提出、場合によっては審査や交渉の遅延につながります。とくに投資家対応では、不正確な英訳がデューデリジェンス(DD)や契約交渉の長期化を招きます。

2. 定款英訳が必要となる典型的なシーン

定款英訳が求められる場面は、概ね次のとおりです。

2-1. 海外企業との契約締結・取引開始

海外企業と新規取引を行う際、相手企業のコンプライアンス担当者は、「この会社と契約して問題ないか」を確認します。多くの場合、契約締結前の確認プロセスの一環として、履歴事項全部証明書とあわせて、定款の英訳の提出を求められ、代表権や意思決定の手続、目的条項の整合性などがチェックされます。

2-2. 投資・資金調達(DD/契約交渉)

投資家は、株式・ガバナンス・意思決定・資本政策に影響する条項を重点的に確認します。英訳・翻訳で翻訳が不正確だったり、意訳があると、DDや契約交渉が長引く原因になります。

2-3. 海外子会社・支店設立の手続き

海外での支店や法人の社設立手続では、親会社のルールや機関設計を示す資料として、定款及び履歴事項全部証明書の英訳・翻訳が必要となることが多いです。ここで誤訳や不整合があると、審査が止まり、設立スケジュールに影響する可能性があります。

2-4. 海外銀行での口座開設・与信審査

海外の銀行は、法人口座開設や与信審査の際に、代表権や意思決定の仕組みを確認するため、定款及び履歴事項全部証明書の英訳・翻訳の提出を求めることがあります。

3. 取引先・投資家が定款で見ている“確認ポイント”

取引先や投資家が定款を求める背景には、共通する目的があります。端的にいえば、「この会社と取引・投資して大丈夫か」を確認するためです。

3-1. 取引先が見たいこと(契約リスクの確認)

  • 会社が実在し、目的が取引内容と整合しているか
  • 誰が代表権を持ち、契約締結権限があるか
  • 意思決定の手続(取締役会決議等)に制約がないか
  • 公告方法など、会社としての基本ルールが整っているか

取引先は、詳細な法律論よりも「必要な確認が取れること」を重視します。英訳が読みづらいと、追加資料の要求や確認コストが増え、商談が遅れることがあります。

3-2. 投資家が見たいこと(資本政策・ガバナンスの確認)

  • 株式の譲渡制限の有無、承認機関
  • 発行可能株式総数や種類株式の扱い
  • 役員の任期・選任、機関設計(取締役会、監査役等)
  • 株主総会や取締役会の決議要件(重要事項の意思決定)
  • 将来の資金調達・M&Aの障害になりうる条項の有無

4. 相手方が確認しやすい「正確な英訳」とは?

取引先・投資家向けの定款英訳では、直訳=正しいとも、意訳=分かりやすいとも限りません。重要なのは、次の3点を同時に満たすことです。

  • 原文の法的意味を崩さない(意味の一致)
  • 読み手が誤解しない(制度の誤認を避ける)
  • 読み手が知りたいポイントに到達しやすい(見通しの良さ)

これを実現するためには、文章力だけでなく、次のような文書設計が欠かせません。

  • 用語の固定(同じ概念は同じ訳語で統一)
  • 条番号や見出しの維持(照合性)
  • 日本の会社法・商業登記法の制度を正確に表現する工夫
  • 固有名詞・数値・日付・住所表記の統一
  • 定款のフォーマットの正確な再現

5. 投資家・取引先が特に注目する条項

定款の構成は会社により異なりますが、英訳においては次の観点を軸にすることが重要です。

5-1. 会社の基本情報(Company Name / Address / Business Purpose)

  • 商号:英語表記の統一(公式に使っている英語表記があれば優先)
  • 本店所在地:ローマ字住所の表記形式の統一
  • 目的:事業内容が誤解なく伝わる表現(正確に列挙)

目的条項は、取引先が「取引が目的に含まれるか否か」を確認します。投資家は、目的の幅が狭すぎて将来の制約にならないかを気にすることがあります。

5-2. 株式(Shares):資本政策の中核

  • 発行可能株式総数(Total Number of Authorized Shares)
  • 発行済株式の総数並びに種類及び数(The Total Number of Issued Shares, and, the Type and the Number)
  • 譲渡制限(承認機関はどこか)
  • 種類株式がある場合の取扱い(優先株等)

ここは英訳で意味がずれると、取引先・投資家の理解が大きく変わり、審査や交渉に直接影響します。たとえば「発行可能株式総数」と「発行済株式の総数」の区別は極めて重要です。会社法・商業登記法の意味を正確に、かつ読み手に伝わる訳語・表現で統一します。

5-3. 機関設計(Corporate Governance):意思決定の仕組み

  • 取締役会設置会社か
  • 監査役、会計参与等の有無
  • 株主総会・取締役会の役割と決議事項
  • 重要事項の決定プロセス

海外の読み手は、日本の会社法の機関を自国制度に当てはめて理解しようとします。そのため、“それっぽい英語”で別制度に見えてしまう訳は避け、誤解が生じにくい会社法と商業登記法に忠実な翻訳をします。

5-4. 代表権・権限(Representative Director)

  • 代表取締役の定め
  • 契約締結権限の所在
  • 重要な意思決定(取締役会決議が必要か など)

取引先がこの項目を重視するのは、契約の相手方として「誰に代表権があり、誰が契約を締結できるのか」を最初に確認する必要があるためです。 署名者の権限が不明確なままでは、社内審査が止まったり、追加資料や補足説明を求められることがあります。 そのため英訳では、代表取締役の有無、契約締結権限の所在、重要事項の決定手続(取締役会決議の要否等)が、読み手にとって迷いなく読み取れる表現と体裁になっていることが重要です。

5-5. 役員の任期・選任(Term / Appointment)

投資家は、ガバナンスの観点から役員任期や選任手続を見ます。英訳が不正確だと、将来の役員改選の柔軟性や統制の仕組みが読み取れません。

5-6. 公告方法(Provision on Method of Public Notice)

公告方法は、取引先・投資家が常に精読する項目というよりも、手続上の必要が生じたタイミングで参照されることが多い条項です。 そのため英訳では、解釈の余地が残らないように文言を整理し、読み手が確認すべき情報を簡潔かつ明確に示します。

定款(英訳)サンプル

定款(Articles of Incorporation)の英訳 | 行政書士が対応

※本画像はサンプルであり、実在の法人の定款の英訳ではありません。

6. 英訳で誤解が起きやすいポイント

定款の英訳では、英語として読みやすく整えた結果、原文が意図する法的な意味合いが別のものとして伝わってしまうケースが少なくありません。 ここでは、実務上とくに誤解が生じやすいポイントを整理します。

6-1. 目的条項を“自然に意訳”してしまう

履歴事項全部証明書や定款の翻訳においては、"読みやすい自然な意訳"ではなく"正確な英訳"が必要です。目的条項も同様です。列挙をまとめたくなりますが、まとめ方によって範囲が狭くなったり、逆に広く見えたりします。原文の構造と表現を正確に、読み手が追える形にするのが基本です。

6-2. 株式用語の選択ミス

authorized / stated / outstanding など、似た言葉でも意味が異なります。条項が指している概念を正確に把握し、一貫した用語体系で訳すことが重要です。

6-3. 機関の訳語を海外制度に寄せすぎる

日本の「取締役会」や「監査役」を海外制度の用語に寄せすぎると、読み手が誤認します。制度の違いを前提に、誤解が少ない訳語を選択します。

6-4. 代表権の表現が曖昧になる

代表取締役の有無、代表権者の範囲、意思決定に必要な手続(取締役会決議の要否等)が不明確な英訳は、 取引先・投資家にとってリスク評価ができず、追加確認や補足説明の要因になり得ます。 そのため英訳では、これらの点が読み手にとって迷いなく把握できる表現と体裁になるよう整理します。

7. 依頼時に揃えるとスムーズな情報

事前情報がまったくない場合、確認事項が増えて進行が遅くなりがちですが、特別な準備は不要です。 まずは次の4点をご共有いただければ、見積から作業開始までスムーズに進められます。

  • 定款データ(Word / PDF / スキャン)
  • 呈出先と用途(契約前の確認/DD/提出/社内共有など)
  • 役員名・署名者名のローマ字表記(パスポートと同一の表記)

加えて、以下の情報があると精度が上がります。

  • 会社名の英語表記(公式に使っている表記があれば優先)
  • 提出先フォーマットの指定(対訳指定など)

8. 納品物は「読み手が確認できる」体裁で作成

取引先・投資家向けの定款の英訳・翻訳では、読み手が「必要な情報に正確に把握できる」体裁が重要です。一般に、次の点を整えます。

  • 条番号・見出しの維持(照合性と可読性)
  • 用語の統一(同一概念は同一訳語)
  • 固有名詞(会社名、地名、役職)の表記ルール固定
  • 数値・日付・住所表記の統一

説明用に自然な英語にすると、会社法と商業登記法の定義と英語がずれることがあります。そのため、原文との対応関係を保ちながら、読み手が確認しやすい英訳・翻訳を作成します。 また、翻訳証明書を発行するケースも多いです。

9. 料金・納期:2営業日

定款の英訳(日英翻訳)は、2営業日で完成します(上場会社の定款の場合は延びる可能性があります)。 一方、下記の場合は納期が延びる可能性があります。とくに公証・アポスティーユが必要な場合は、通常2営業日ほど納期が伸びます。

  • 上場会社のケース
  • 株式条項・機関設計が複雑(新株予約権が発行されている)
  • 公証・アポスティーユが必要

なないろバックオフィスでは、定款の英訳について、分かりやすいページ数当たりの定額料金制を採用しています。 1ページ当たりの文字数が多い場合でも、追加料金なしで対応します。

定款の英訳料金

定款の英訳:1枚 6,000円(税抜)

翻訳証明書(Certificate of Translation):3,000円(税抜)

※例えば定款が3枚の場合、翻訳料は18,000円です。履歴事項全部証明書も1枚当たり料金は同一です。
※当事務所の行政書士名で発行します。電子署名または押印で対応可能です。

行政書士2名体制でダブルチェックを行い、 公的手続きに耐えうる品質の英訳と翻訳証明をセットでご提供しています。

10. ご依頼の流れ(送付→確認→着手→納品)

  1. 定款データを送付(PDF / Word / スキャン)
  2. 読み手と用途を確認(取引先/投資家/両方)
  3. 納品形式を確定(pdf納品または郵送)
  4. 見積 → 着手
  5. 納品(pdf納品または郵送)

11. よくある質問(Q&A)

Q1. 取引先が求めるのは全文ですか?

A. 取引先の目的次第ですが、基本的には対象に全文を翻訳します。一部の翻訳は稀です。

Q2. 投資家向けに、重要条項だけ英訳できますか?

A. 可能です。株式・ガバナンス・代表権など、投資家が見る条項を優先して進められます。

Q3. 会社名の英語表記が決まっていません。

A. 問題ありません。最適な英語表記にて訳出します。

Q5. 日本の会社法の意味が伝わるか不安です。

A. 誤認が起きやすい箇所は、原文との対応関係を正確に、会社法と商業登記法に忠実に訳します。

Q4. 翻訳証明書の発行は可能ですか?公証・アポスティーユの取得は可能です?

A. いずれも可能です。提出先や読み手の指定に合わせて対応します。

定款・会社書類の翻訳のご相談は こちら

なないろバックオフィスの証明書翻訳

12. まとめ|定款の英訳は「正確さ」と「形式」が結果を左右する

定款と履歴事項全部証明書の英訳・翻訳は、取引先・投資家が代表権、意思決定、株式の取扱いといった「会社ルールの前提」を確認するための重要な資料です。

たんなる自然で読みやすい英訳では、追加確認や再提出につながり、審査や交渉のスケジュールに影響することがあります。 定款と履歴事項全部証明書の翻訳では、原文・会社法・商業登記法の意味を正確に反映し、条番号・用語・表記を統一して原文と照合できる形式で作成することが、実務上極めて重要です。

取引先は代表権・目的・基本情報を、投資家は株式・ガバナンス・意思決定・資本政策を重点的に確認します。 いずれの場合も、読み手が必要な箇所を迷わず確認できる体裁・フォーマットであることが重要です。

なないろバックオフィスは、会社の設立支援経験が豊富な行政書士に加え、米国の大学院卒で翻訳実務の経験が豊富な行政書士(TOEIC925点)が在籍。行政書士2名体制で、全ての翻訳を監修しています。 「定款か、履歴事項全部証明書かいずれが必要なのかわからない」「提出先要件としてCeritifedやNotarizedの意味が分からない」といった場合でも、提出先・目的・スケジュールをご共有いただければ、最適な進め方をご提案できます。

当事務所の提携先(あわせて、なないろバックオフィス):行政書士藤原七海事務所

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Yohei Komori

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