2025年 中小企業省力化投資補助金(一般型)第4回公募 - 申請の要件、対象経費、スケジュールを行政書士が解説!
【2025年9月22日作成】
2025年9月に「中小企業省力化投資補助金(一般型)」第4回公募要領が公表されました。 今回の募集では、電子申請により応募を受け付けており、申請には「GビズIDプライムアカウント」の取得が必須となっています。
中小企業省力化投資補助金(通称:省力化補助金)は、人手不足に悩む中小企業・小規模事業者を支援するために、IoT・ロボット等のデジタル技術を活用した専用設備の導入を後押しする制度です。 この補助金を活用することで、業務の省力化や付加価値の向上を実現し、 結果として賃上げや労働生産性の改善につなげることが期待されています。
本記事では、銀行勤務経験を持つ行政書士が、 「中小企業省力化投資補助金(一般型)」の申請要件・補助率・補助上限額・対象経費・スケジュールについて、 最新の公募要領をもとに分かりやすく解説します。

中小企業省力化投資補助金(一般型)のスケジュール
本稿では「一般型」について解説しますが、中小企業省力化投資補助金には、 「一般型」のほかに「カタログ注文型」があります。 「カタログ注文型」は、国が事前に省力化効果を認めた製品カタログから選択できるため、 申請が迅速かつ簡易であることが特徴です。 一方で、「一般型」は、オーダーメイドの設備やシステムの導入を対象とすることができ、 自社の工程や課題に合わせた柔軟な投資が可能です。 「カタログ注文型」の詳細は別の記事でご紹介します。
「一般型」は2025年度から開始され、年に複数回(おおむね3~4回)の公募が実施される見込みです。 各公募では申請受付開始日・締切日・採択発表日が設定され、 採択者はその後に交付申請 → 補助事業実施 → 実績報告という流れで進みます。 申請には「GビズIDプライムアカウント」の取得が必須です。 また、審査は外部有識者による書面審査が基本であり、 採択後には必要に応じて事業者への照会や現地調査も行われます。 (なお、口頭審査は明記されていません。)

申請から採択発表までは、これまでの公募スケジュールを踏まえるとおおむね2~3か月を要します。
補助事業の実施期間は、交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内)と定められており、 この期間内に設備導入や工事を完了し、実績報告(確定検査)を提出する必要があります。
2025年中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請スケジュール
2025年の「一般型」の申請スケジュールは次の通りです。2025年9月22日現在、第1回~第3回は終了済みで、現在は第4回の公募が予定されています。
公募回は年3~4回を予定していますが、公式ホームページには 「第5回の公募スケジュールは詳細が確定次第更新いたします」との記載があり、 2025年は最大で5回の公募が実施される可能性もあります。 なお、「カタログ注文型」は随時申請が可能です。
公募回 | 公募開始日 | 申請受付開始日 | 公募締切日 | 採択発表日 |
---|---|---|---|---|
第1回 | 2025年1月30日 | 2025年3月19日 | 2025年3月31日 | 2025年6月16日 |
第2回 | 2025年4月15日 | 2025年4月25日 | 2025年5月30日 | 2025年8月8日 |
第3回 | 2025年6月27日 | 2025年8月4日 | 2025年8月29日 | 2025年11月下旬(予定) |
第4回 | 2025年9月19日 | 2025年11月上旬(予定) | 2025年11月下旬(予定) | 後日お知らせ |
中小企業省力化投資補助金(一般型)の採択率
「中小企業省力化投資補助金(一般型)」は、他の主要な補助金と比べて採択率が高いことが特徴です。
採択率は 採択数 ÷ 申請数 で算出しており、下記の表では小数第1位で四捨五入しています。
公募回 | 申請数 | 採択数 | 採択率 |
---|---|---|---|
第1回 | 1,809 | 1,240 | 68.5% |
第2回 | 1,160 | 707 | 60.9% |
中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助率と補助上限額
「一般型」の補助率と補助上限額は以下のとおりです。補助率は原則として、中小企業は1/2(一部特例で2/3)、小規模企業者・小規模事業者(個人事業主を含む)や再生事業者は2/3となります。
補助上限額は従業員規模に応じて大きく異なり、
5人以下は750万円(特例時1,000万円)、6~20人は1,500万円(同2,000万円)、21~50人は3,000万円(同4,000万円)、51~100人は5,000万円(同6,500万円)、101人以上は8,000万円(同1億円)まで支援されます。
さらに特例措置として、
・大幅な賃上げに取り組む場合は、従業員数に応じて補助上限額の引き上げ(最大+2,000万円)
・最低賃金引き上げに取り組む場合は、補助率が2/3へ引き上げ
といった優遇もあります。
従業員数 | 補助率※ | 補助上限額 | 大幅な賃上げを行う場合の上限額 |
---|---|---|---|
5名以下 | 中小企業:1/2 (特例時 2/3) 小規模・再生事業者:2/3 | 750万円 | 1,000万円 |
6~20名 | 1,500万円 | 2,000万円 | |
21~50名 | 3,000万円 | 4,000万円 | |
51~100名 | 5,000万円 | 6,500万円 | |
101名以上 | 8,000万円 | 1億円 |
小規模事業者の定義
業種 | 常時従業員数 |
---|---|
商業・サービス業 | 5人以下の会社及び個人事業主 |
製造業その他 | 20人以下の会社及び個人事業主 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下の会社及び個人事業主 |
中小企業省力化投資補助金(一般型)の基本要件
「一般型」における基本要件は4つあり(下記参照)、特に賃上げが重視されています。 参考までに「カタログ注文型」では労働生産性の要件が+3%以上でしたが、 「一般型」では+4%以上へと引き上げられており、より高い成長が求められています。
- 労働生産性の年平均成長率を+4.0%以上増加させること
- 給与支給総額の年平均成長率+2.0%以上、
または1人当たり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県の最低賃金の直近5年間の平均成長率以上 - 事業場内最低賃金を事業実施都道府県の最低賃金+30円以上とすること
- 従業員21名以上の場合、
次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し「両立支援のひろば」に公表すること
2番目と3番目の要件は比較的わかりやすいので、1番目と4番目の要件について補足します。
なお、2番目と3番目の要件が未達成の場合には、達成度(未達成度)に応じて補助金を返還する義務があります。
1. 労働生産性の考え方
労働生産性は、まず付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費を算出し、 これを労働者数(従業員+役員・個人事業主・専従者を含む)で割ったものです。
申請時点の直近決算値と、報告時(「一般型」は5年間)の値を比較し、年平均4%以上の労働生産性向上を達成する必要があります。
人件費や減価償却費、従業員数は比較的予測が立てやすいため、実際に成果を左右するのは営業利益の動向です。 そのため、営業利益が上昇基調にあるタイミングで申請することが望ましいと言えます。
4. 一般事業主行動計画とは
一般事業主行動計画(以下「行動計画」)とは、次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づき、 企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るために策定する計画です。計画には(1)計画期間、(2)目標、(3)達成のための対策と実施時期を定める必要があります。
従業員101人以上の企業には、行動計画の策定・届出・公表・周知が義務付けられています。 一方、省力化投資補助金(一般型)の申請では、従業員21名以上の場合に「両立支援のひろば」への行動計画の公表が要件とされています。 公表には2週間程度の期間を要するため、早めの準備が推奨されます。
その他の要件
基本要件に加えて、次の「その他の要件」を満たす必要があります(主要な要件のみを記載):
- 省力化指数:導入によってどれだけ業務量が削減されるかを示す指標を算出すること。
- 投資回収期間:事業計画上の投資回収期間を根拠資料とともに提出すること。
- 付加価値の向上:3~5年の事業計画期間内に、設備投資前と比較して付加価値額を増加させること。
- オーダーメイド設備:汎用設備をそのまま導入するのではなく、事業環境に応じた 構成・機能のカスタマイズや複数設備の組み合わせによって省力化効果を高めること。
詳細は公募要領をご確認いただくか、当事務所までお問い合わせください。
補助対象経費
「一般型」では、オーダーメイド性のある設備やシステムの導入が可能とされています。 具体的な補助対象経費は以下のとおりです。なお、「機械装置・システム構築費」は必須であり、必ず単価50万円(税抜)以上の設備投資を1件以上行う必要があります。
- 機械装置・システム構築費必須単価50万円以上機械・装置、工具・器具の購入・製作・借用、専用ソフトウェア/情報システムの購入・構築・借用、ならびに改良・据付に要する費用。 ※必ず単価50万円(税抜)以上の設備投資を1件以上含める。
- 技術導入費上限:総額の3分の1本事業の実施に必要な知的財産権等の導入に要する費用。
- 知的財産権等関連経費上限:総額の3分の1特許権等の取得に係る弁理士の手続代行費用等(特許庁手数料・訴訟費用は対象外)。
- 専門家経費上限:総額の2分の11日上限 5万円本事業の実施のために依頼した専門家への謝金・旅費等。
- 運搬費運搬料、宅配・郵送料等。※購入時の運搬料は「機械装置・システム構築費」に含める。
- クラウドサービス利用費補助事業に専ら利用するクラウドやWebプラットフォームの利用料(サーバー本体の購入・レンタルは対象外)。
- 外注費上限:総額の2分の1専用設備の設計等の一部を外注(請負・委託等)する場合の費用。
注記:
「機械装置・システム構築費」以外の経費については、合計で500万円(税抜)が上限です。
さらに、各経費区分ごとに定められた補助率(例:総額の1/2や1/3まで)も同時に適用されます。
そのため、最終的に補助対象として認められる金額は、その他経費の総額「500万円」と「各区分の補助率で算出した額」のいずれか小さい方となります。
事業計画
申請書類は多岐にわたりますが、その中でも審査の中心となるのは事業計画書です。 事業計画書には、補助事業の目的や取組内容、労働生産性向上目標の達成手段を具体的かつ定量的に記載する必要があります。 自社の現状や課題、これまでの取組の経緯を踏まえ、なぜ機械装置等の導入が必要なのかを明確にし、工程やプロセス改善のシナリオを示すことが重要です。
定量化と整合性
投資が業務の省力化や効率化にどう寄与するのかを、省力化指数や投資回収期間などの数値目標と算出根拠を用いて説明することが求められます。 また、補助事業の効果が自社全体の事業計画や成長戦略と矛盾しないか、労働力再配置や付加価値向上といった波及効果を図表やシミュレーションで示すことで、計画の実現可能性と信頼性が高まります。
賃上げの具体化
計画書には具体的な賃上げ目標(給与総額・一人当たり給与等の増加率)とその根拠を記載する必要があります。
単なる一時的な昇給ではなく、設備投資や人材育成と連動した持続的な成長戦略の一部であることを示すことが不可欠です。 実施スケジュールや体制、財務計画(資金調達を含む)まで整合的に記述することで、審査での評価が高まります。
加えて、事業計画が実現可能であるかどうかは、それ自体が審査項目の一つであり、達成手段の具体性や実施体制の妥当性、資金調達の裏付けが評価対象となります。
加点項目への対応
さらに、本補助金には賃上げ加点・事業承継加点・えるぼし/くるみん認定などの加点項目が設けられています。
採択率を高めるためには、これらの加点要件を積極的に取り入れることも有効です。 ただし、加点を得た後に要件未達となった場合には、将来の応募で減点のペナルティがあるため、現実的に達成可能な計画を立てることが重要です。
まとめ
「中小企業省力化投資補助金」は、最大1億円規模の支援を受けられる一方、
要件が多岐にわたり、詳細な書類審査やプレゼン対応が求められる難易度の高い補助金です。
そのため、実現可能性の高い事業計画の策定と、金融機関(銀行等)の理解・後押しが不可欠となります。
筆者は、銀行および投資銀行での勤務経験を持つ行政書士として、金融と経営の両面から申請をサポートしています。
また、当事務所では、代表と同等の知識と経験を持つ提携行政書士と共同で、単独受任と同じ報酬体系のままご支援できる体制を整えています。
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参考法令・資料
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助金公式サイト
- 2025年 中小企業省力化投資補助金(一般型) 公募要領
- よくあるご質問(一般型)