令和7年度 酒類振興支援事業補助金
ブログをご覧いただきありがとうございます。本稿では、令和7年度の「酒類振興支援事業補助金」について、J.S.A. ワインエキスパートで行政書士の筆者が整理・考察いたします。本事業は、酒類業界の経営改革・構造転換や日本産酒類のブランド力強化、海外展開などを支援する重要な施策です。要件や対象経費、注意点などをわかりやすくまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
1.事業の目的
本事業(酒類業振興支援事業)は、酒類事業者が日本産酒類のブランディング、インバウンドによる海外需要の開拓、国内外の新市場開拓といった意欲的な取組を行う際に、必要な経費を支援するものです。これにより、日本産酒類の輸出拡大や酒類業の経営改革・構造転換を促進し、酒類業全体の健全な発達を図ることを目的としています。
2.補助事業の概要・流れ
本事業では、「海外展開支援枠」と「新市場開拓支援枠」の2つの申請区分が用意されています。申請区分や補助率、補助金額は下記の表のとおりです。
申請区分 | 海外展開支援枠 | 新市場開拓支援枠 |
---|---|---|
補助率 | 補助対象経費の1/2 | 補助対象経費の1/2 または2/3(※注1) |
補助金額 | 1,000万円以内(下限:50万円) ※注2 | 500万円以内(下限:50万円) |
申請要件 | ― | 3~5年の事業計画期間において給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる事業計画+ 売上額または付加価値額を年率平均3%以上増加させる事業計画を策定(※注3) |
補助事業期間 | 交付決定日~令和8年2月28日(土)まで (同日までに支払完了が必要)※注4 |
※注1:従業員規模により補助率が異なります。P7を参照。
※注2:グループ申請の場合、酒類事業者3者を含む申請で1,200万円、4者以上で1者あたり100万円を加算(最大1,500万円)となります。
※注3:給与支給総額=全従業員(非常勤含む)+役員の給与等。付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費。
※注4:事業完了後30日以内に実績報告書を提出。繰越手続により延長が認められる場合もあり。
なお、新市場開拓支援枠で給与支給総額の増加目標が未達の場合、導入設備等の簿価または時価のうち低い方の額に対応する分の返還を求められる可能性があります。ただし、売上額や付加価値額の増加率、不可抗力(天災など)などの状況によっては、返還を求めない場合もあります。
手続きの大まかな流れは、①公募 → ②公募申請 → ③採択 → ④交付申請 → ⑤交付決定、必要に応じて⑥補助金状況報告 → ⑦中間検査を経た後、⑧実績報告 → ⑨確定検査 → ⑩補助金の請求 → ⑪補助金の支払、最後に⑫事業化状況の報告という順序になります。
3.補助対象者
本補助金の対象者は、日本国内に所在し、次の(1)と(2)の要件をすべて満たす者です。
- 酒税法に基づき酒類の製造免許または販売業免許を受けている者(酒類業組合等を含む)、もしくは少なくとも1者以上の酒類事業者を含むグループ
グループ申請の場合は代表申請者が手続きを行い、参画事業者の経費も代表申請者の事業として補助対象となります。 - 「酒類業振興支援事業費補助金の交付を受ける者として不適当な者」に該当しないこと
(反社会的勢力との関係、酒税法令違反、税金の滞納などがないこと)
4.補助対象事業
本事業では、「海外展開支援枠」と「新市場開拓支援枠」に分けて補助を行います。それぞれの主な取組内容は以下のとおりです。
海外展開支援枠
- (1) 日本産酒類の海外販路拡大や商品等の高付加価値化
海外ニーズを踏まえた新商品開発やブランド化、認知度向上の情報発信、GI(地理的表示)やテロワールの活用など - (2) 酒蔵の観光化や地域における酒蔵ツーリズムプラン策定
インバウンド需要の拡大を目指した酒蔵観光化や、観光事業者・交通機関・自治体との連携による周遊・滞在型観光プランなど
新市場開拓支援枠
- (1) 商品の差別化による新たなニーズの獲得
食品とのペアリング、地方産品を活用した新商品開発、オーダーメイド商品、伝統技術を活かした高付加価値商品の開発など - (2) 販売手法の多様化
二次元コードや裏ラベルを活用した情報提供、テイスティング体験重視の販売形態、データ分析による販売戦略など - (3) ICT技術を活用した製造・流通の高度化・効率化
AI技術を用いた品質管理システム、RFIDやAIカメラを活用した在庫・流通管理など
5.補助対象経費
補助対象となる経費は、本事業のために明確に区分でき、必要性・金額の妥当性を証拠書類で示せるものに限られます。さらに、交付決定日以降に発注し、補助事業期間内に支払いが完了していることが条件です。
- 海外展開支援枠:補助率は1/2
- 新市場開拓支援枠: 小規模事業者(常勤従業員数20人以下、卸売・小売業は5人以下)は2/3、 それ以外は1/2
グループ申請の場合、代表申請者および参画事業者(酒類事業者)がすべて小規模事業者である場合のみ補助率2/3が適用されます。途中で規模要件を満たさなくなると、補助率が1/2に変更されるのでご注意ください。
6.まとめ
令和7年度の「酒類振興支援事業補助金」は、日本産酒類の海外展開や新市場開拓、酒蔵ツーリズムなど、多面的な取り組みを支援する制度です。補助率・金額・要件は事業規模や内容によって異なりますが、うまく活用すればブランド力強化や経営改革につなげるチャンスとなるでしょう。
ブログ記事をご覧いただき、ありがとうございました。酒類業界を取り巻く補助金や制度は複雑に見えるかもしれませんが、事業の方向性や経営戦略を整理することで、必要な手続きやメリットを明確にすることができます。また、本件以外にも酒類業界の皆様にお使い頂ける補助金は多いです。 ご不明な点がございましたら、J.S.A. ワインエキスパートで行政書士の当事務所までお気軽にご相談ください。無料相談も承っております。
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